内容説明
「裏日本」の魅力満載、酒井版『陰翳礼讚』。
常に時代を先取りする話題作を刊行してきた酒井順子氏が、“控え目だけれども鋭い光を放つ”日本海側の魅力を存分に伝えるエッセイ。
経済発展=幸福と、太平洋側を「表」として走ってきた日本ですが、とくに東日本大震災以降、その構図はくずれつつあります。経済至上主義によって、私たちは、日本人にとって大切なものをたくさん失ってきたのではないかということに、多くの人が気づき始めています。
そして、その開発の手を逃れて、ひっそりとマイペースで生きてきた日本海側=「裏」には、裏だからこその日本の大切なもの=「幸せ」が、たくさん詰まっていることに、日本中を何度も旅してきた著者は魅了されました。
都道府県別幸福度ランキングでは、トップ3は福井、富山、石川の北陸三県。富山にある世界一のスタバ、日本海が必須の演歌、美人が多い秘密、谷崎潤一郎、水上勉、泉鏡花、川端康成が描いた「裏」、顔を隠す盆踊り、金箔のほとんどを生産する金沢…などなど 「裏日本」の宝ものが次々と紹介されます。「裏の幸せ」を求めて旅に出たくなるエッセイです。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ミカママ
469
「裏」日本という表現がメディアからほぼ消えたのと、TVの天気予報の画面から雪だるまのマークが消えたのと、どちらが先だったろう。この酒井さんのエッセイというかドキュメンタリーというか、あえて裏日本という言葉の持つ陰鬱なイメージに真っ向から対峙し、それを全肯定したこの作品。水上勉や石川さゆりが裏日本に対して残した功績など、読者にもわかりやすい事例を用いている。真面目な歴史書であり、観光資料でもある。いつものような箸休め的なエッセイとして読むと、痛い目にあうかもしれない。2019/09/25
ジュール リブレ
45
今は死語になつた裏日本。表紙のイラストもよく見たら裏から見た日本列島!章ごとのタイトルも絶品。まずは陰翳、民藝と来て、その次は演歌。やっぱり裏には演歌が似合う。そこから深層心理に踏み込んで仏教、神道、そして美人。日本海側美人一県おき説実証の旅。爆笑しながら読んでしまいました。原発、文学、政治家にも触れて、ラストは観光で締めました。なかなか乙な、いや粋な造りですっかり堪能。巻末の宮下奈都さんの解説もほのぼの。幸せ度も高いはずだな。ごちそうさまでした。おすすめです。2019/10/10
pirokichi
28
さすが酒井順子。おもしろい。「裏日本」をあちらからこちらから褒め讃えてくださって、「裏日本」出身の私としては恥ずかしいようなうれしいようなおちょくられているような。とにかく唸りまくった。表日本の男と裏日本の女の視点から書いた川端康成の『雪国』考は読みごたえがある。裏日本出身作家水上勉と表日本出身作家三島由紀夫の金閣寺対決?も興味をそそられ両作品を読みたくなった。山陰本線ってそんなに絶景なのかぁ、乗ってみたい。2022/08/07
百太
28
陰陽でいう“陰”に落ち着く漢字のする自分。日本海側へ旅したい。2018/04/13
Syo
23
発想は面白いけれど…。2020/10/10
-
- 電子書籍
- 鉄道ファン2023年12月号
-
- 電子書籍
- GENROQ 2021年12月号
-
- 電子書籍
- 賢者の弟子を名乗る賢者 第45話【単話…
-
- 電子書籍
- アロハ・シャツは嘆いた
-
- 電子書籍
- EVEN 2014年5月号 Vol.67