内容説明
当時、日本海軍機動部隊は世界最強の実力を誇っていた。太平洋戦線における稼働隻数、戦闘機の性能、搭乗員の伎倆と多くの点で米軍を凌ぎ、米国側も「勝ち目なし」と悲壮な覚悟を固めていたほどだった。にもかかわらず、なぜ日本は敗れたのか? 今となっては貴重な、将兵たちへの直接取材をもとに著す傑作戦記。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
yoshida
121
大東亜戦争の一つの転換点となったミッドウェー海戦。生き残った日本軍将兵への取材や米軍側の資料も採用し海戦の実相に迫る。日本軍の敗因としては、開戦からの連勝による慢心、情報管理の杜撰さ、情実での作戦認可、不運もあった。仮にミッドウェーを占領しても補給が続かない、ハワイよりの反攻もあり維持困難、軍令部員の意見「国の興亡をかけた決戦には、確算の大きい方途を選ぶべきで、ミッドウェー作戦案には絶対に反対である」が真っ当と言える。作戦が認可されなければ退官すると迫った山本五十六氏は退官してもらうべきであったのでは。2016/07/06
CTC
10
14年講談社文庫、上下巻の上。単行本は85年潮書房光人社(更に申せば同単行本は74年光人社刊行の『あゝ軍艦旗』の改題新装で95年には光人社NF文庫版も刊行されている)。著者がガ島を描き講談社ノンフィクション賞を獲るのは80年、本書は著者の職業作家として成功のきっかけとなるものだろう。澤地久枝の『滄海よ眠れ』は84年刊だが、サンデー毎日連載は82年。取材にかなり時間をかけているだろうが、本書が先行書だ。可能な限り戦場体験者にじかに会って話を訊」き、「手を加えたりせず」に紹介する著者の仕事の意味は大きい。2022/06/25
フロム
3
兎に角、コレ一冊でミッドウェー海戦はOK。文献や教科書でしか伺い知る事が出来ない将星達の生インタビューが凄い。極限状態の判断というのは理屈や合理性から遠く離れたものなので、当事者がから遠く離れれば離れるほど「真実」から遠ざかる。その点著者は出来る限り事実だけを書こうと努力してるし、一部の人間や一時の事象に原因を求めない多角的な判断は非常に好感が持てるし参考になる。ミッドウェーに関しては戦後と言うせいもあるだろうが、官位上下に関わらずインタビュー受けた大部分の人間が当時から反対の所が興味深い。2015/05/18
チャメ
3
膨大な資料、証言をもとにミッドウェー戦を考察したものです。物語ではありません。ひとつの事柄を多面的に調査しており、米軍からの視点も織り交ぜ、比較的公平な検証となっていることに好感が持てました。仕方ないことですが、多面的であるため時系列が前後することが多くなってしまうので読むのが大変なところもあります。印象的なのは、日本軍の圧倒的な戦略ミスと思っていたこの海戦ですが、米軍の勝因にも偶然性も多かったことです。これを差し引いても、諜報能力と索敵能力が勝敗を分けた訳ですが…。さっそく下巻に入ります。良著です。2014/04/23
紺
2
インタビュー形式の様々な人の視点から太平洋戦争ミッドウェー海戦を見る。戦記には明るくないので良く分からなかったが、アメリカ海軍の視点により、いかに日本を恐れていたかを描写されていて、日本海軍がそれほど強かったことを知った。利根の偵察機四号機がなんらかの理由で遅れ、そのために索敵ルートが変わり、戦局に微妙な変化が生じた所を丁寧に解説されていたので理解しやすかった。上巻は米空母の爆撃機の攻撃により蒼龍が被弾し、軽重油庫に誘爆して沈む所まで。2014/04/17
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