内容説明
肥後椿が咲き乱れる「百椿庵」。江戸時代からあるという、その屋敷には、若い女性の幽霊が出ると噂があった。その家で独り暮らすことになった新進小説家の青年井納惇(じゅん)は、ある夜、突然出現した着物姿の美少女に魅せられる。「つばき」と名乗る娘は、なんと江戸時代から来たらしい…。熊本を舞台に一四〇年という時間を超えて、惹かれあう二人の未来は? 傑作タイムトラベル・ロマンス。[解説:脚本・演出家 成井豊]
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ざるこ
41
熊本市郊外、広大な日本庭園を有する「百椿庵」に1人暮らす小説家の惇。そこに現れた幽霊と思しき女性は「つばき」と名乗る140年前からのタイムトラベラーだった…。まず、つばきの話し方がとてもしとやかできれい。日本語の美しさを感じる。山頂から見下ろす景色がまったく違っていても140年間変わらず存在する物を見つけた時は感慨深い。2人の初々しい恋と「別れ」の時を迎える寂しさがゆっくりと語られる。決して中身の濃い話ではないけど時間をかけて読みたくなるとても優しい物語。「りょじんさん」の謎が解けたラスト2人の運命は…?2019/06/11
ごんぞう爺さん
18
時間を跳び、出逢う二人。そして時間に引き裂かれる二人。百椿庵に仕掛けられた時間跳躍機によって、運命の出逢いをするつばきと惇のラブストーリー。江戸時代から平成の現代へ跳躍したつばきの凜とした美しさ、違う時代でも生きようとする強さ、江戸の時代で惇を向かえる優しさに素晴らしい人だと思った。むしろ、惇の方があたふたして、いざとなった時の男の情けなさに同性として反省すらしてしまう(笑)梶尾さんお得意のタイムトラベル物であるが、本作は物語の「道具」として「素直に良いなぁ」と思えた。2018/09/22
ひさか
8
月間百科(平凡社)2004年9月号〜2006年9月号連載のものを2006年10月平凡社より刊行。2010年6月平凡社文庫化。平凡社文庫版に加筆修正して、2018年1月徳間文庫刊。梶尾さんお得意の叙情時間跳躍もの。叙情豊かな時超えハッピーエンドが良い。2018/03/09
のし
5
面白かったです。 物語が綺麗すぎな感じもしますが。2023/04/29
depo
4
図書館本。著者が住む熊本を舞台にしたタイムトラベル小説、というよりタイムトラベルをつかった恋愛小説。面白かった。2021/05/27