内容説明
※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。
「認識としての力への意志」、「ヨーロッパのニヒリズム」ほかを収録。知の闘技場はさらに白熱、読解はいよいよ精緻、主題はいっそう重い。
目次
1 認識としての力への意志(形而上学の完成の思索者としてのニーチェ
ニーチェのいわゆる『主著』
新たな価値定立の原理としての力への意志
真理の本質に関するニーチェの根本思想における認識 ほか)
2 同じものの永遠なる回帰と力への意志
3 ヨーロッパのニヒリズム(ニーチェの思索における五つの主要名称
『最高の諸価値の無価値化』としてのニヒリズム
ニヒリズム、ニヒル、および無
ニーチェにおける宇宙論と心理学の概念 ほか)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
踊る猫
23
第一巻のような読みやすさはない。ニーチェにラッシュをかけられてタジタジだったハイデガーは、ここに来てニーチェを論敵としてリベンジする。キーワードは「存在」だろう。デカルト「我思う故に我あり」の解釈や、『存在と時間』での議論にも相通じる「存在」を俎上に乗せ、ニヒリズムを丁寧に分析していく。私の不勉強もあり、ニーチェやハイデガーをこの読書で理解したとは言えない(し、言うつもりもない……)。ただ、微細な(悪く言えば、ソリッドさに欠けた情緒的な)議論からは学ぶべきところが多いと思った。『力への意志』に挑んでみたい2020/03/24
またの名
14
「真理などない!」と叫ぶ哲学者に対して「じゃあその命題も真理ではないので偽ですよね」と反論して勝った気でいる常識的思考をバッサリ斬り捨てる読みのスタイルは、独特で明敏。ニーチェが使う生理学や生物学といった用語の含みを陳腐な科学万能主義から丁寧に切り分け、真の世界と仮象の世界の対立の転倒とは上下関係を入れ換えただけではない等と次々指摘していく華麗な独壇場で、聴衆を圧倒。ところが後半になると刃をニーチェにも向け、どの思想家にもできなかった形而上学の解体と存在の探究を企てる自身の思考を展開し、独壇場は最高潮に。2015/12/30
有沢翔治@文芸同人誌配布中
11
ハイデガーによるニーチェ論。一応、ツァラトゥストラはこう語った、力への意志、永劫回帰など、ニーチェのキーワードが語られるが、かなり独自の解釈が入っているような……。http://blog.livedoor.jp/shoji_arisawa/archives/51505814.html2019/06/05
グスタフ
8
プラトンより始まり、ニーチェをとおしてハイッデガー自身に流れ込む西欧形而上学の概観。その根底にあって、問い続けられるのは〈存在〉。明らかにされるのは〈価値の系譜〉。ニーチェが、転倒させようとして対決したプラトンのイデアも、実はその最高のものは善のイデアであり、それは太陽にたとえられ、その輝きと温かさは周りの事物を〈存在的〉にするのだ。近代形而上学の先鞭をつけたデカルトのコギトも、〈存在者〉とは何かと問う中で、はじめてその意義が明らかになる。2014/02/16
ディヴァイン
3
プラトンまでの哲学をすべて『ニヒリズム』の言葉で纏めて診断したニーチェをハイデッガーが貴方までを含めた哲学が「ニヒリズム」ですよ、と微笑みながら話す声が聞こえてくる。2人の哲学者の対決は終幕へ向け歩きだすが、この平凡社ライブラリー…最後までしてくれないんだよなぁ〜いと悲し。2010/02/12