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内容説明
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なぜ、日本で思想は死ぬのか──敗戦後を生きる私たちが独自の思想を持つことができないのは、「タテマエとホンネ」に囚われているからだ。話題の著者が贈る論争必至の一冊。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
佐島楓
66
政治家の「ホンネ」と「タテマエ」から始まる日本人論。平易なことばを使っているが、とても難解である。哲学は人間の生き方、ひいては社会全体をより善くしようと試行錯誤されて研究され続けたものであることはよく理解できた。ヴァレリーの挿話に感銘を受けた。重要なことほど黙するスタンス。2021/04/24
keint
8
タイトルのように日本人に思想はないということを論じているわけではなく、いわゆる「本音と建前論」を西洋思想(古代ギリシャ、アーレント、ルソー、マルクス、カント)と日本の古代から近代までの思想を通すことにより分析している。 個人の私利私欲に立件し、そこから公共性を築いていくことで本音と建前の二重論から開放される社会へのヒントが独特であった。2019/10/15
ほじゅどー
8
★★「タテマエとホンネ」これは昔から日本にあった考え方ではなく、戦後の政治家の失言、そして前言撤回から生まれたものだという。やや強引な気もするが、話はさらに「公と私」へ続く。後半飛ばし読み。2015/08/29
mittsko
4
おもろかった、ためになった 公私区分をめぐる倫理と権力… 「僕達」という語で筆者が戦略的に呼ぶ「日本人」がそれを、前近代から近代にわたりどのように組み上げてきたか、一つひとつひも解いていく その際、中国や西欧の歴史との接合から「僕達」が「バーバリアン」たる「全面屈服者」であるところに定位し、そこから立ち上がりうる思索の言葉の細い細い道を探り当てようとする 順当かつ重大な道筋だ! なお、「僕達」の歴史的加害性に本書がまったく言及しないのは、大きな限界 それをどう組み入れていくか、読者にゆだねられた課題である2016/01/15
にゃん吉
3
大臣の失言と対応をマクラに、戦後日本のタテマエとホンネの意味、由来、日本社会のニヒリズム、大日本帝国憲法第28条(臣民の信教の自由)に現れた欺瞞、ポリスとオイコスから社会とプライベートへの西洋の変容、日本的公と私等を考察しつつ、思想風土復活のために、私利私欲を前提とした新たな公共性の構築の必要を説くという論旨かと思われました。アーレント、ルソー、マルクス、カント、福沢諭吉、折口信夫…と、大御所の言説も総動員という重厚な論述。結論は、何となく妥当な気はしましたが、具体的なイメージがわかず。私の理解不足。 2019/09/26