内容説明
なぜ進化論を否定するのか? なぜ「大きな政府」を嫌うのか? なぜポピュリズムに染まるのか? あからさまな軍事覇権主義の背景は? 歴史をさかのぼり、かの国に根づいた奇妙な宗教性のありかたを読み解き、トランプ現象やポピュリズム蔓延の背景に鋭く迫る。ニュース解説では決して見えてこない、大国アメリカの深層。これがリベラルアーツの神髄だ!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
たま
57
またもやドナルド・トランプが選挙戦に登場とあって読んだ。190頁の新書で飛ばし書き的だが内容は面白かった。キリスト教がアメリカに伝わり土着化した際の特性を〈富と成功の福音〉と〈反知性主義〉と捉えて解説する。富と成功の福音=幸福の神義論なるものは聖書で有名な〈ラクダと針の穴〉の例えとは真逆でとてもキリスト教とは思えないのだが、アメリカのキリスト教の(全部ではなく)ある一つの傾向として参考になった。同様に信仰復興運動についての解説は、アメリカの小説でお馴染みの〈巡回説教師〉に光を当ててくれる。2024/05/22
ネギっ子gen
50
【アメリカに土着化したキリスト教、に着目】アメリカでは、なぜ進化論が否定されるのか? 露骨な軍事覇権主義の背景は? 歴史を遡りつつ、“宗教という鋳型で作られた”大国アメリカの深層に鋭く迫った書。有名企業の幹部に向けた白熱講義を新書化。<一部の地域ではいまだに日曜日の店舗の営業やアルコール販売を禁じている/そういう厳格な道徳主義があるかと思えば、他方では欲望を全肯定するような快楽主義を目にすることも珍しくありません。/アメリカの場合、それが両極端に振れている。振れ幅の大きさが、並外れているのです>と――。⇒2024/05/06
Kentaro
39
アメリカの論理では、この疑似三段論法が常識として受け入れられている。つまり、「この世の成功」と「神の祝福」はイコールで結ばれる。この根本的な確信を支えているのは「人の声=神の声」という考え方だ。ラテン語ではvox populi, vox deiという。ローマ時代の言葉で、キリスト教的な起源があるわけではない。人は神の声を直接聞くことはできない。だからそれを、人の声を通して聞くのです。人びとが称賛や是認をしているのなら、それは神の是認と同一視されるわけだ。2022/06/30
SOHSA
39
《購入本》トランプ政権誕生から何かと注目を浴びるようになったアメリカの政治と思想。日本人はとかく英米あるいは欧米という括りで、アジア諸国との対置としてアメリカを見がちであるが、実はそれは大きな誤りであることを本書は教えてくれた。アメリカ建国の歴史、そこから生まれる国民の思想、気質、宗教と政治の関わり、反知性主義とポピュリズム等々、いずれも本書では明快に読み解き読み手にわかりやすく提示してくれている。トランプ政権を誕生させたアメリカ国民の思考が、すっきりと腑に落ちた。2017/11/27
kei-zu
34
宗教的背景から米国の政治的特性を説明する。宗教学者である著者でなければ、きわどいと感じかねない語り口もある。 世俗的な成功が神の恩寵の証明という考え方は、同国に独特のもの。一方、それは人生の不遇は神に見捨てられたという判断を導きかねず、それを回避するために自らが「極端な不公正」を被っているという被害意識が生じるという。 英国のEU離脱は、トランプ選出と併せて論じられることが多いが、方向性は真逆で「撤退」であるという指摘も興味深い。 ポピュリズムの説明から、我が国の将来に向けられた指摘も考えさせられる。2021/04/29
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