内容説明
なぜ進化論を否定するのか? なぜ「大きな政府」を嫌うのか? なぜポピュリズムに染まるのか? あからさまな軍事覇権主義の背景は? 歴史をさかのぼり、かの国に根づいた奇妙な宗教性のありかたを読み解き、トランプ現象やポピュリズム蔓延の背景に鋭く迫る。ニュース解説では決して見えてこない、大国アメリカの深層。これがリベラルアーツの神髄だ!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
buchipanda3
82
「アメリカは『負け』を理解できない」という帯文に引かれて。ニュース等で馴染みあるアメリカだが、宗教国家としての一面はぼんやりとしか知らず。著者によると政教分離であるが故に政府の抑制がなくむしろ現世批判をそぎ落とし自己礼賛的な論理面が色濃くなったと言う。欧州と違い、独特な国の生い立ちと負けの歴史的機会不足から苦難の神義論が未発達で、富と成功という勝ち組の幸福の神義論と反知性主義によるラディカルな平等主義が共存する歪な形態をもたらす。そして大衆迎合の信仰復興集会の様子が現在までずっと大統領選挙の原型に見えた。2026/04/09
たま
59
またもやドナルド・トランプが選挙戦に登場とあって読んだ。190頁の新書で飛ばし書き的だが内容は面白かった。キリスト教がアメリカに伝わり土着化した際の特性を〈富と成功の福音〉と〈反知性主義〉と捉えて解説する。富と成功の福音=幸福の神義論なるものは聖書で有名な〈ラクダと針の穴〉の例えとは真逆でとてもキリスト教とは思えないのだが、アメリカのキリスト教の(全部ではなく)ある一つの傾向として参考になった。同様に信仰復興運動についての解説は、アメリカの小説でお馴染みの〈巡回説教師〉に光を当ててくれる。2024/05/22
ネギっ子gen
55
【アメリカに土着化したキリスト教、に着目】アメリカでは、なぜ進化論が否定されるのか? 露骨な軍事覇権主義の背景は? 歴史を遡りつつ、“宗教という鋳型で作られた”大国アメリカの深層に鋭く迫った書。有名企業の幹部に向けた白熱講義を新書化。<一部の地域ではいまだに日曜日の店舗の営業やアルコール販売を禁じている/そういう厳格な道徳主義があるかと思えば、他方では欲望を全肯定するような快楽主義を目にすることも珍しくありません。/アメリカの場合、それが両極端に振れている。振れ幅の大きさが、並外れているのです>と――。⇒2024/05/06
Kentaro
43
アメリカの論理では、この疑似三段論法が常識として受け入れられている。つまり、「この世の成功」と「神の祝福」はイコールで結ばれる。この根本的な確信を支えているのは「人の声=神の声」という考え方だ。ラテン語ではvox populi, vox deiという。ローマ時代の言葉で、キリスト教的な起源があるわけではない。人は神の声を直接聞くことはできない。だからそれを、人の声を通して聞くのです。人びとが称賛や是認をしているのなら、それは神の是認と同一視されるわけだ。2022/06/30
SOHSA
39
《購入本》トランプ政権誕生から何かと注目を浴びるようになったアメリカの政治と思想。日本人はとかく英米あるいは欧米という括りで、アジア諸国との対置としてアメリカを見がちであるが、実はそれは大きな誤りであることを本書は教えてくれた。アメリカ建国の歴史、そこから生まれる国民の思想、気質、宗教と政治の関わり、反知性主義とポピュリズム等々、いずれも本書では明快に読み解き読み手にわかりやすく提示してくれている。トランプ政権を誕生させたアメリカ国民の思考が、すっきりと腑に落ちた。2017/11/27




