内容説明
なぜ北は無謀な暗殺を強行したのか? 2017年2月に発生した北朝鮮・金正男氏の暗殺事件。以降、国際社会からの圧力は強まる一方である。武力攻撃もやむなしとの声が上がり、戦争の危機が朝鮮半島のみならず東アジア全体を混乱に陥れている。北朝鮮が事件から得た利益は、一見して何もない。北朝鮮において権力者交替のたびに繰り広げられる粛清劇。暗殺指令は、金正恩氏が権力の座について以来の規定路線だった――。ASEANに広がる北の工作ネットワークと、北朝鮮が海外に派遣する「奴隷労働者」の秘密。2人の実行犯は本当に事件について何も知らなかったのか? 外国人実行犯を活用する巧妙な計画は誰が指示していたのか? 次々に浮かぶ疑問に、金正男の遺体という事件の最大の物証が真実を語る。なぜ北朝鮮は自滅に向かうのか? 毎日新聞外信部が事件の全容を追う迫真のドキュメント!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
takao
2
ふむ2020/12/15
のぶ
2
この書名の「なぜ」という問いかけに対する答え、結論としては誰でも「そりゃそうだろうな」と思う程度の意外性のないことしか書かれていない、それは本書の残念な点ではあります。「なぜ」がわかるなら「誰が」(誰の差し金でという意味で)もわかります。でも証拠はない。あくまで推測でしかない(でなければマレーシア警察なり国連なりが動くだろうし)。と否定的なことを書きましたが、二人の実行犯やそれに接触した人物の行動を遡って追跡するなど、謎だらけのこの事件を解明すべく力の入った取材を行った記録としては読み応えのある本でした。2018/02/14