内容説明
「歪んだ真珠」を意味する語として生まれた「バロック」は、「粗野な」、「劣った」というニュアンスを帯びて使われる一方で、バッハやベルニーニに代表される雄大壮麗な作品とともに知られてもいる。──では、「バロック」とはいったい何か? 西洋美術史研究の第一人者が、多彩な時代と分野を縦横無尽に駆けめぐり、本質に迫っていく旅の記録。多数の図版を収録した原本に、さらに新たな図版を加えた決定版が登場!
目次
序 章 バロックと現代
第1章 歪んだ真珠──バロックとは何か
第2章 静謐な形態感覚──古典主義
第3章 不安の幻想と綺想の魅惑──マニエリスム
第4章 大衆教化のイメージ戦略──対抗宗教改革
第5章 真実追求の精神──自然主義
第6章 強烈な演出効果──光と闇
第7章 溢れ出るダイナミズム──装飾と動勢
第8章 二重構造の世界──写実性と超越性
第9章 肉体の悲哀と魂の歓喜──苦悩と法悦
第10章 貴族となった芸術家──宮廷絵画
第11章 新しいパトロンたち──市民絵画
第12章 拡大する空間意識──都市と建築
第13章 夢の祝祭世界──文学・音楽・演劇
第14章 生きる歓びの表現──ロココの美術
第15章 永遠のバロック──新古典派とロマン派
あとがき
学術文庫版へのあとがき
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
チョコ
55
バッハや、バロック音楽についてと思い読み始めたら、もっと壮大な歴史書だった。文化史からの視点のバロック。『歪んだ真珠』良いじゃない!各国の王様や富豪の商人の支えがあって今に残る名作ができている。全ては必然だな。また年を経て読んだら違う感想になりそう。2023/09/15
ロビン
22
主として17世紀にヨーロッパで主流となったバロック様式について様々な角度から解説した一書。ダ・ヴィンチやラファエロに代表される「高貴な単純さと静謐な偉大さ」、間接照明のような静かな光をもつ古典主義に対して、カラヴァッジョやルーベンスらのバロックは奔放な激しさ、不安定なまでの複雑さ、ダイナミックな動き、強烈なスポットライトが生み出す劇的な明暗を特色とする。バロックの落とし子であるロココや、新古典主義とロマン主義におけるバロックの要素などにも言及されバロックの奥深さを学べる。社会的背景も詳しく解説されている。2022/01/13
風に吹かれて
21
『古典』、『バロック』、『ロマン』など芸術に関して一応の分類があり、もちろん、それらの芸術が生み出されたときにそう名付けられたのではなく、後世に、一応そう呼ぼうか、ということで命名されたものだけど、実のところ、どういうものが『古典』であり『バロック』であり、まして『新古典』なのか分からない私でしたが、この本で、よ~く理解できました。さすが高階先生の著作です。絵画、彫刻、建築物など参照作を豊富に掲載していて、眺めるだけでも楽しい本。『バロック』が『いびつな真珠』という意味だとは驚きでした。2018/05/18
Akito Yoshiue
20
流れがわかりやすくまとめられており、図版の説明も適切。教科書として非常にレベルが高い。2018/01/15
蛸
20
古典主義との比較でバロック美術の特徴(ダイナミズム、スペクタクル性、自然主義《とその奥にあるもの》、スポットライト的明暗表現、等)を説明し、さらにその間に入るマニエリスム、果てはバロックの落し子たるロココやロマン主義(とそれに対する新古典主義)にまで話が及ぶ。つまりこれ一冊読めばざっと西洋の近代美術の歴史が概観できるという素晴らしい本。もちろん歴史的背景に関してもわかりやすい。図版も(白黒ながら)豊富。教科書的でありながら退屈さとは無縁の一冊。2017/12/10
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