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内容説明
万人が投資家になる時代に、
幸福はあるか。
1990年代以降進んだ資本主義の徹底化=グローバリゼーションとは、私たちのあらゆる行動を「消費」へ、そして最終的には費用対効果に基づいた「投資」へと変えていく現象である――。グローバリゼーションは、私たちの行動とメンタリティをどう変えてしまったのか。市場と貨幣の綿密な考察から資本主義の原理を解明、そこから新たな展望を構想する一書。
目次
第1章 グローバリゼーションと市場の内包的深化(心の豊かさと物の豊かさ コミュニティの衰退とグローバリゼーション ほか)
第2章 社会主義はなぜ不可能なのか、資本主義はなぜ強いのか(資本主義をいかなるものとしてとらえるか 市場社会主義論と一般均衡理論 ほか)
第3章 貨幣と自律分散型市場(貨幣をとらえなおす 貨幣とは何か ほか)
第4章 市場の内部化と資本主義経済の進化(経済理論はどう評価されるか 三つの経済調整方法 ほか)
第5章 コミュニケーション・メディアとしての貨幣(貨幣の本質 貨幣の未来 ほか)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
壱萬弐仟縁
14
SNS友達が資本主義と社会主義の体制問題を取り上げていたので、借りていた本著を紐解いた。ランゲは「社会主義経済理論について」(1936-37年)の中で、一般均衡理論は資本主義の競争的市場経済ではなく、理想的市場社会主義経済を描くと信じていた。市場社会主義は社会厚生を最大にするよう所得分配を決定できる外部効果、規模の経済、公共財における市場の失敗を克服できるなど、前者の欠点を除去しうるから優れているという(63-64頁)。SNS友達に伝えるには、一定の説得力をもつ箇所である。これをそのままお伝えしてみる。2014/01/26
メルセ・ひすい
4
15-10★5私達はレストランに座り、自分の財布の中身と相談しつつ、様々なコースや単品が書かれた「メニュー」から、自分が食べたいものを選択する消費者になっているといってよい。仮に、ありとあらゆる財やサービスが商品化され、市場で売買されていると仮定するなら、わたしたちに残されているのは「メニュー」の中での選択しかない。万人が投資家になる時代に、幸福はあるか?グローバリゼーションは、私たちの行動とメンタリティをどう変えてしまったのか。市場と貨幣の綿密な考察から資本主義の原理を解明、そこから新たな展望を構想する2011/05/17
ハジメ
3
第一章、第二章はなんとかついていけたけれど第三章の貨幣と自律分散型市場あたりで知識不足が露呈した。第四章を読み終わって疑問符が溢れ、恐る恐る読み進めた第五章は肩すかし気味だった。結論、というよりも今後の展望としての資本主義の行き先がいくつか示され、コミュニティ通貨の可能性が述べられている。いささかトリッキーだったけれど面白かったし、読んでよかった。2011/10/06
メルセ・ひすい
3
ヒトが低生産でいた縄文時代。。。採取や狩猟から食料をえていた・・・その収穫は不確定で生活は安定しなかった。・・・でも平和… 地球に住まわせてもらっていた。自然 神を恐れあがめていた。…その後 弥生 農耕 穀物 果樹 を育て収穫するようになる。備蓄 分業 工業 貨幣 産業 国家・・・・で富に目がくらむ。。で・・・・戦争。。つまり戦争反対者は縄文に戻ると 安泰なのだ。2011/06/25
甲楽城
2
あとがきを読みながら、ふと、今現在の何でも「コスパ」を求める風潮に違和感を覚えている自分に気付きました。コスパは確かに大事ですが、掛けたコスト以上の(貨幣価値としてカウント可能な)バックを常に求め、それが得られなければ負け、なんて社会は息苦しいだけだと感じます。本書は、資本主義を掘り下げる過程で市場と貨幣に注目し、コミュニティ貨幣の可能性を論じています。我々が何となく当たり前に思っていた「お金」の諸々について変えられる可能性は、実現するかは別にして、世界そのものをも変えられる可能性なのかもしれません。2019/10/16