回転木馬のデッド・ヒート

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回転木馬のデッド・ヒート

  • 著者名:村上春樹【著】
  • 価格 ¥638(本体¥580)
  • 講談社(2017/11発売)
  • ポイント 5pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784062749060

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内容説明

「それはメリー・ゴーラウンドによく似ている。それは定まった 場所を定まった速度で巡回しているだけのことなのだ。どこにも行かないし、降りることも乗りかえることもできない。誰をも抜かないし、誰にも抜かれない」人生という回転木馬の上で、人は仮想の敵に向けて熾烈なデッド・ヒートをくりひろげる。事実と小説とのあわいを絶妙にすくいとった、村上春樹の8つのスケッチ。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ヴェネツィア

265
'83年~'84年ごろに書かれた短篇を集めたもの。タイトルの由来は不明。文庫の帯には「都会の奇妙な空間」―人生というメリー・ゴーラウンド、そこでデッド・ヒートを繰りひろげるあなたに似た人―とあり、これは編集部の誰かによるキャッチコピーだろうが、タイトルだけから想像し、内容を読まずに付けたとしか思えない。「はじめに」によると、村上春樹はこれらの短編群は「多くの人から聞いた」事実を書いたもので、小説ではないと言っているが、実態は小説にほかならない。おそらくは、それまでとは違った小説作法を模索していたのだろう。2012/07/30

ehirano1

204
「タクシーに乗った男」にて。こんな話聞くのは結構好きです。本書で疑似体験できただけでも儲けものかもしれませんが・・・。因みに、“人は何かを消し去ることはできない。消え去るのを待つしかない”がとても印象的でした。2022/02/14

夢追人009

188
我々はそんな回転木馬の上で仮想の敵に向けて熾烈なデッドヒートをくりひろげているように見える。これは村上春樹さんにしか書き得ない文章表現でありキャッチコピーだと思いますよね。さまざまな人々の語る人生の物語には安易な答はないのでしょう。だから最後まで読んでも意味がわからなくても決してガッカリせずに唯々ラストの一文に漂う余韻を噛み締めて味わうべきなのでしょう。本書には所々に男女のセックスが描かれますが嫌らしくもエロティックでもなく淡々とした筆致です。これらの物語は読み手の年齢によって感想に違いがありそうですね。2019/01/05

ちなぽむ and ぽむの助 @ 休止中

186
窓ガラスには様々な水滴がうつっていた。雨は先ほど降り出して未だやまない。室内は心地よい空調に調えられ、ピアノ音楽が音をしぼってかけられている。外の名残はわずかな湿度が肌をぬらすだけだ。辺りは少しずつ暗くなって、車や店のライトが通り過ぎていく。その瞬間、圧倒的事実が眼前に差し迫って私を打ちのめす。「この光の先に、光の数だけの人生がそれぞれの方向に際限なく広がっている!」世界は無限なのに、私は何処にもいけない。街の片隅の美しい喫茶店で思う存分事実に打ちのめされた後珈琲をのんで席を立った。雨はもう止んでいた。2019/12/27

おしゃべりメガネ

181
村上春樹さんの短編集は「読もう!」と強い読書欲のもとに読むわけではなく、なんとなく手にとってなんとなく読み始め、よくわからぬまま経過し、知らぬ間に読み終えてるパターンが少なからずあるかと思いますが、今作はそんなゆったりとした不思議な雰囲気の真骨頂的な作品かなと。作者さんがホントにあったかどうかは別にして、色んな方々の不思議体験を聞き、文章にしたモノらしいです。そういうコンセプトなので、読んでいて基本、謎だらけになろうかと思いますが、そこがまた作者さんの魅力なのかもしれません。ホント、不思議な一冊でした。2019/11/28

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