内容説明
「樹齢八百年のきんもくせいを見に行く」という絵葉書を最後にOL中瀬恵子は、消息を絶つ。新宿発の最終夜行列車で旅に出たひとり娘の行方を懸命に追う父親の正治。だが、彼も同じきんもくせいの近くで車に轢かれて亡くなる。正治と夜行列車で隣り合わせた医師の北里は、2つの事件の背後に蠢く男女の存在を突き止めた。だが、その女性までが死体で発見される――。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
こういち
7
本書は、著者の人生観や結婚観が色濃く描き出されている。ひとりの娘が信州に向かう夜行列車に乗車したことから始まるストーリー。様々な偶然と事象が重なり合いながらも、決められた線路の上を歩まざるを得ない、儚き運命を連想させる。そして樹齢八百年の金木犀が、甘く強い芳香を漂わせながらバイアスを効かせ、一瞬の感情に左右される弱き人間の愚かさを惹く。2013/12/17
雲
6
家にあった積読本 三週間程前に、森村誠一がそこで人間の証明を着想したという群馬の秘境の温泉宿に行ったので。いろんな人の人生がからみあっていて面白かった。ここまで偶然が重なることは現実的ではないけど。しかも、犯人二人とも犯行をネタにゆすられるという設定はわざとなんだうなぁー。昭和を感じつつ一気読み。2022/11/26
にやり2世
1
ややこしい人間関係だったなぁ。2022/03/26
ふじようこ
0
タイトルに惹かれて読み始めました。期待通りの作品。この作家も読みやすい。また他の作品も読んでみよう!2014/07/05
Tadashi Totsuka
0
この物語は一人旅の若い女性が長野で行方不明となり、父親が樹齢800年の金木犀の匂いに誘われて娘の行方を追ったが、ひき逃げで殺されるという運命の皮肉さ、人間の欲望など様々な話が交錯し著者独得のストーリーが展開します。人間の運命なんて儚いものです2014/05/30