- ホーム
- > 電子書籍
- > 教養文庫・新書・選書
内容説明
GHQに抗い、「埋もれた日本」を取り戻す――。京都学派の一人として知られ、『風土』『古寺巡礼』『日本精神史研究』などの名著を生み出し続けた「知の巨人」和辻哲郎。明治22年生まれの和辻は、大正から昭和、敗戦に至るまでの激動の時代を生きた知識人であった。敗戦後、占領政策によって日本の伝統精神は崩壊の危機に瀕した。さらに言えば、戦前から戦争に至る流れの中で、日本人自らが、伝統と誇りを見失いつつあった。そんな中、鈴木大拙、南原繁、折口信夫、近衛文麿など大正教養派の多くの人々は時流に流され、変節していった。しかし、伝統衰退の世相に立ち向かい、節を貫き通した知識人もいた。その代表格こそ、和辻哲郎である。なぜ和辻は、激動の中で「不動の指標」たりえたのか。危機の時代に、日本人はいかに日本の伝統精神を取り戻すべきかを、知の巨人・和辻哲郎を通して知る。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
軍縮地球市民shinshin
14
本書はもともと『伝統の興廃』(仮題)といった題で単行本としてまとめる予定であったが、出版社から2分冊にして新書に出すことを勧められてそうなったという。本書は2分冊の後半でこちらが先に出た。大正教養派と呼ばれた知識人は戦後、GHQに迎合して戦時中の日本を批判する側に回り、そしてアジア諸国に「謝罪」することを潔しとした。それに大正教養派の知識人のひとりである哲学者和辻哲郎は違和感を覚え、「戦後」という風潮を批判することになる。著者が和辻の言説を手際よくまとめている。好著。2020/11/04
田中峰和
6
多くの大正教養派が戦後不甲斐なくGHQに迎合し、言説を曲げたのはなぜか。日本語をやめてフランス語を国語にしようと言い出した志賀直哉のような者もいた。権力による言論弾圧と情報操作に対して、変節しなかった言論人として和辻哲郎が挙げられる。本書では当時の言論人の言説を網羅しつつ、和辻の硬骨漢ぶりを紹介する。ニーチェ研究から出発した和辻は、西洋文明を学ぶ意義は偉大な西洋文明を吸収しつくした後、初めて真に高貴な日本的がそのうちに現れるとしている。米国の宣伝目的で書かれた「菊と刀」に学問的価値はないと喝破した。2018/02/28
残心
1
〈偉大な西洋文明を真髄まで吸収しつくした後に、初めて真に高貴な日本的がその内に現れるのではないだろうか〉「停戦とは日本の軍隊の組織的抵抗が終ったことだけを意味し、米軍を主体とする占領軍の情報戦による追撃は二十年九月を以て本格的に始まっている」「鈴木大拙の過大な挫折感の表白は、所詮彼が国際政治の歴史にあまりにも学が浅かったところから来ている」「天皇の存在こそ、実は人民主権論の結果として生じた、国民の総意の表現ではないか」「国民の総意の表現として存在する天皇の地位は、将来もまた、総意の表現であるゆえに不動」2018/02/08
-
- 電子書籍
- 今日は何する?【マイクロ】(5) フラ…
-
- 電子書籍
- 15分の少女たち -アイドルのつくりか…
-
- 電子書籍
- 後宮も二度目なら ~白豚妃再来伝~【分…
-
- 電子書籍
- ギヴ・ミー・ア・チャンス 犬と少年の再…