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内容説明
私たちは不健康・不摂生な人々に対して安易に「自己責任論」を振りかざしてしまいがちですが、現在ひそかに進行しているのは、所得や家庭環境などにより自らの健康を維持する最低限の条件すら蝕まれつつあるという異常事態です。まさに《命の格差》とも言うべき「健康格差」の危機的な実態に、NHKスペシャル取材班が総力を挙げて迫ります。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ねこ
147
日本は格差が少ないと言われていたのは随分昔。アメリカや中国ほどではないが日本でも格差が拡大しつつあります。理解はしていましたが、経済格差か健康格差、寿命格差に連動している事実を突きつけられると背筋が凍ります。日曜日、この本をマグドナルドで読んでいたら近くでお母さんと小学校低学年の女の子が食事をしていました。2人ともそれぞれのスマホを見ながら会話も無く山盛りポテトを黙々と食べていた2人はとても太っていました。貧困層の子どもは痩せていると連想していましたが太っているそうです。明確な解決策は無く暗い気持ちです。2023/02/20
けんとまん1007
53
まさに今、考えているポイントの一つ。格差は多岐に渡るなかで、その根幹をなすものだと思う。所得・地域・雇用形態・家族構成のどれを考えても複雑に関係する。それへの対策をどうとるかの視点が3つ。「ポピュレーション・アプローチ」「ソーシャル・キャピタル」「楽しい仕掛け」。どれも、なるほどと頷ける。昨年、実際に取組んでみたことの視点と重なっていて、背中を押された思いがする。そのベースにあるのがナッジ。それの積み重ねを考えていこう!2024/05/24
ゆう。
45
この本は、病気になることは自己責任なのか丁寧な取材を通じて読者に問題提起してくれています。低所得者層や貧困層ほど糖尿病をはじめ病気になるリスクは高まり、これは子どもから高齢者までのすべての世代に当てはまる社会問題なのだと思いました。「生活習慣病」というラベルが自己責任ととらえられる一つの要因なのかもしれません。誰もが病気になるリスクを抱えているからこそ、自己責任とせず、社会的に解決しなければならないのだと思いました。良書です。2017/12/11
レモン
36
健康の格差が非正規雇用や貧困など諸問題とつながっているらしい。なるほど。生活習慣に気を配れずに病気になるのは自己責任、と少なからず私も思っていたが、個人の意志の力のみで気をつけるのは到底無理らしい。社会レベルでのアプローチが必要とのこと。少し安心した。ポピュレーション・アプローチの発想に納得。前職で「検診・健診の啓発に取り組み、受診率を高めます」という文言を目にするたび、ハガキ送ったり呼びかけたりするぐらいじゃ行かないだろうに、と冷めた気分になっていたので。2024/06/01
James Hayashi
34
健康問題など個人の責任だとばかり思っていたが、そうではないらしい。所得、雇用形態、家族構成、地域により健康格差が起こっているという。風が吹けば桶屋が儲かるでないが、諸要因が我々の健康を害していく。富める者と貧しき者の食い物や生活習慣など薄々知ってはいたが、現実を突きつけられると有無も言えぬ。日本は改革を迫られている。ただ指をくわえているだけでは超高齢社会(65歳以上が21%以上)を生きていけない。政府がきっちりプラン立て政策として実行していくべき。2017/12/02