内容説明
日本の戦後史は、アメリカからの圧力を前提に考察しなければ、その本質が見えてこない。元外務省・国際情報局長という日本のインテリジェンス(諜報)部門のトップで、「日本の外務省が生んだ唯一の国家戦略家」と呼ばれる著者が、これまでのタブーを破り、日米関係と戦後70年の真実について語る。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
AICHAN
114
図書館本。太平洋戦争後の日本の歴史をまとめた本。元外務官僚で『Twitter』で有名な孫崎亨さんの著書。米国からの圧力を軸に日本の戦後史を読み解いている好著。少しも難解ではなく、平易な文章で表現もわかりやすい。「日本には日本独自の価値がある。それは米国と必ずしも一緒ではない。力の強い米国に対して、どこまで自分の価値を貫けるか、それが外交だ」と考える孫崎さんの視点から見た戦後史はこれまでにない日本戦後史かもしれない。戦争に負け、反共の防波堤になった日本は米国の支配から逃れられないことがよくわかった。(続く)2018/08/21
とくけんちょ
62
今までの日本近代史の常識がことごとく覆される。思い返せば、アメリカファースト、そんな当たり前のことにトランプさんが大統領になるまで見えないフリをしていた。日本はアメリカに心までコントロールされている。日常生活、特に仕事において、いい人だけでは話にならない。人はモノ言うことから、逃げてはいけない。読みやすく、勉強になりました。2021/03/02
よこしま
57
おそらくアべはこの加計学園問題があっても、米国にとっては利用価値があるので当面は護られるであろう。◆今更ながら再読です。トランプの自国第一主義、アべの対米追従を再考するにあたっては基本となる一冊でして。◆今までも対米追従と自立の路線が内閣によって交互でしたが、軍事面においては小泉が政権を取るまでは追従派も慎重でした。今の狂い方は本に上げられないのでは。◆“短命な内閣≒無能”とは必ずしも成り立たず、米国によってクビを切られているだけ。2017/05/29
Willie the Wildcat
48
米国外交。自主vs.米国追随。両者の是非はともかく、時勢を考慮した交渉戦術は当然。国益を念頭にいれた一貫性は期待したい。それ故、「行政協定」と「プラザ合意」は常に疑問。これらの結果が(時勢を踏まえた上でも)妥当な交渉結果の落とし所だったのか、納得感がない。降伏、終戦、そして独立。これらの意味。特に、独立国家とはどうあるべきか・・・。自尊心・軸を問われている気がする。歴代首相の立ち居地と、結果の視点での戦後史。興味深い。2013/04/12
小木ハム
44
言論界のタブー″米国の裏工作(=圧力)″に注目して、敗戦後70年の歴史を辿る本。高校生を対象にしているだけあって語り口が柔らかい。対米追随の首相はおしなべて長命。復興後今日の豊かな社会も防波堤・将棋の駒としての価値を上げるために過ぎず。良いように手のひらで転がされていただけの様です。渡辺謙の『負けて勝つ』を観て感動してた身としては苦虫を噛むような箇所もあるんだけど、こういった視点が学べるのは有難いこと。この本を読んだからといって反米姿勢は取りませんが、改めて怖い国だな、と思います。2017/08/13