内容説明
悪徳捜査官マルコは違法な捜査方法で、実績をあげることを平気でやってのける人間だった。 終身刑判決無効の申し立てをおこなわせ、デイトンを証人として召喚しようという動きを知ったマルコが先手を打って、デイトンの口封じをさせたのだった。 当局側の人間として事前に情報を知る有利な立場から、マルコはハラーの先回りをして、証拠や証人潰しをつづけていく……。
目次
第二部 ミスター・ラッキー 四月二日火曜日(24~28)
第三部 帽子の男 六月十七日月曜日(29~42)
第四部 罪責の神々 十二月二日月曜日(最終弁論)
訳者あとがき
マイクル・コナリー著作リスト
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Tetchy
148
しかし裁判も恐ろしいものだ。本来悪を罰するために行われる裁きが、弁護士、検事の口八丁手八丁で歪められ、また証拠を捏造して刑務所に送り込もうとする捜査官も現れる。罪を裁く裁判が高等なロジックの上に成り立ち、公平さを重んじるあまり、罰せられるべき者が罰せられず、無実の人が罪を着せられ、刑務所に送られる。手段が目的となっており、悪を征するために正義が悪を成す本末転倒な社会・システムが横行している。それが現代社会。そんな世の中だからこそ我々は答えが出るミステリを読むのだが、コナリーは現実のシビアさを突きつける。2020/01/11
ケイ
144
リンカーン弁護士シリーズ中で個人的に一番。無実と信じる人を助けようとするから素直に肩入れ出来ていい。若いジェニファーが正しくエネルギッシュに活躍できるのも清々しかった。はっと思ったのは、判事は、結審の後に控訴審で判決破棄されるのを非常に嫌うということ。だからこそ、検察被告双方にきちんと力を果たさせようとする力が働くのだろう。次の新作発売まであと半月。訳者が最新作に追いつくべく奮闘されているのが各作品の解説で伝わってくる。コナリーが年に2作出してさえくれなければ…って、それはそれでやっぱり嬉しいくせに(笑)2018/05/28
KAZOO
133
上巻はどうもいろいろな証拠関連のはなしでしたが、下巻に入るとかなり動きがみられました。ページをめくる手が早くなりあっという間に楽しんでしまいました。身近の人がなくなったりしますが事件は結局解決を迎えて和解金も取得できたりでめでたしです。私は今回のは今までのよりも面白い部類だったと感じました。2017/12/10
タツ フカガワ
80
舞台は法廷へ。被告人弁護士ハラーと検察側との熾烈な攻防がまあ面白かった。リーガル・サスペンスの王道といってもいいかも。なかでもハラーが“法廷で過ごした数千時間のなかで、こんなに明晰な瞬間を味わったことはいままでにない”と思ったときが本作のクライマックスで、そこに行き着くまでの筋立てがまたお見事。机に『証言拒否』を積んでいながら、本作から読んだ大ドジはあったものの、それでも大満足の読書でした。2025/07/15
のぶ
80
下巻に入り、物語は法廷が中心になっていく。ハラーの調べで次第に明らかになっていく事実。ホテルのロビーの監視カメラから被害者グロリアを尾行していた男の存在が浮かび上がる。ハラーは裁判に勝つことができるのか?全体を読み通して、特別に大きなサプライズはなく、従来のリーガルサスペンスの範囲を超えるものではなかった。それとハラーが弁護するポン引きや、被害者の娼婦の行いに同情できるところがあまりなく、裁判がビジネスとしての印象が強かったので、大きな感動を感じることはなかったのはやや残念。2018/01/02
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