内容説明
日本、フィンランド、中国(上海)、シンガポール、カナダ。国際学力テスト「PISA」で優秀な成績を収める5つの国を実地調査。勉強は何歳から始めればいい? 能力別のクラス分けは有効? 学力を伸ばすために競争は必須? 子どもの力を引き出す秘訣を探る!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
金城 雅大(きんじょう まさひろ)
22
邦題はセンスの欠片もない(笑)興味深かったのは2点。取り上げた5つの国のどれにも属さないイギリスの教師の視点であること。自国を外すことで「自国と他国」の二元論にならず、多面的な比較を成り立たせている。 そして、ただ単に5つの国を漫然と見ただけでなく、「最高の成績をあげる教育システムの秘密を知りたい」という一貫した強い信念を著者が持っていた点。それが最後の総論で力強く示されている。2018/01/12
りー
20
これはお薦めしたい!タイトルのイメージより断然面白い。英国人の女性教師がPISA上位のフィンランド・日本・シンガポール・上海・カナダ5ヶ国に滞在し、各国の義務教育システムを考えた本。旅行記として読んでも楽しい。なかなか客観的に自国の教育システムを省みることは無いですが、日本では当然と思うことが誉められている。例えば、6才までは勉強を求めず、15才までは能力混合学級で、能力による進路の強制的な振り分けが無いこと。授業と授業の間に休み時間があること。公立学校の教員には異動システムがあることなど。目から鱗です。2020/08/14
たらお
19
身に付けるべきは、問題解決、批判的思考、コミュニケーション、想像力。他の5ヵ国と比較しても日本の教育制度はまあ上手くいっているのだと思う。ただ、ハードルの高い統一試験を課すという文化では、批判的思考、想像力といった力は育ちにくい。基礎となる知識がないと批判的思考は生まれないし、批判的思考をするためには様々なデータに目を通す必要があるからだ。PISAはある程度の指標であって点数を狙いにいくと、絶対に21世紀型のスキルは身に付かないし、点数が取れているシンガポールなどの教育は相当いびつだと思う。2020/03/20
zoe
18
原題はCLEVERLANDS。著者が自ら訪問し、たどり着いた考察には説得力があります。教わる方からは順序、段取りが重要。ついてこれないときは、フォロー。教える方も継続的なトレーニングと専門家としての社会的承認が。最後のページの力強い言葉と解説を読むと、最初から読みたくなると思います。邦題は日本人にはキャッチーですが、著者の言いたいこととはずれている気がします。2018/02/12
koji
14
キャッチーな表題ですが、中味は「英国女性教師がPISA高得点の5ヵ国を巡り教育システムの国際比較を行った」至って真面目な研究書です。高い成果と公平性を実現する5つの原則が参考になります。これは教育の方法論として優れたものと思いました。最後に著者は21世紀型スキルに言及します。問題解決、批判的考察、コミュニケーション、創造力ですが、大いに同意しました。どのように身に付けさせるか。著者の解は、始めにスキルを教えるのではなく、数学なり歴史なり、その概念を教えてスキルを身に付けていく事です。これは得心がいきました2018/01/05