講談社文庫 ルパンの娘

著者名：横関大【著】

講談社（2017/10発売）

• ISBN：9784062937467

内容説明

「今すぐ別れなさい」
私は泥棒の娘。結婚を考えていた彼は警察一家の長男だった。
――連続テレビドラマ化で人気沸騰のベストセラー!

三雲華は恋人の桜庭和馬の家に挨拶に行くこととなった。ついに桜庭家に到着した華は、玄関の家族写真を見て唖然とする。全員が警察の制服らしき服装に身を包み、それぞれ敬礼のポーズをしている。華が育った三雲家は、代々泥棒を生業としており、一家全員が盗人だ。
その数日後、荒川の河川敷で男の焼死体が見つかり、和馬は現場に急行すると……。

目次

第一章　刑事と結婚する方法
第二章　刑事は泥棒がお好き
第三章　招かれざる泥棒
第四章　泥棒より愛を込めて

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。

[海猫]

泥棒一家の娘と警察一家の長男の交際と結婚、というお話と各章のタイトルのセンスに、赤川次郎のユーモアミステリー的なものを感じた。実際読んでみたらコミカルな要素も強く、特異な状況の中、ヒロイン・三雲華の揺れ動く心理に可笑しみがある。互いに立場の違いすぎる二人の恋もお終い!?と思いきやクライマックスの大逆転劇が楽しい。ここは殺人事件の謎解きも盛り込んでなかなかのサービス。ちょっと冗長に感じるパートがあったので、引き絞って少しコンパクトにしてほしいようにも思う。でも十分面白く読めた。

2019/07/13

[パトラッシュ]

泥棒一家の娘と警察一家の息子の恋とは漫画『キャッツ♥アイ』の変奏曲のようだが、目くじら立てず気軽に読めば楽しいライトなミステリに仕上がっている。華の祖父である伝説のスリ師殺害事件をめぐり二人の恋愛のもつれの果てに意外な真相が明るみになる推理ドラマはよく考えられており、双方の家族の家業への誇りと両家の意外なつながりの秘密がストーリーを面白くしている。ルパン一家と呼ばれるほどの泥棒家族なら警察を翻弄する大盗難劇を期待したが、彼の所属が捜査一課では無理か。テレビ版は見ていなかったが、改めてレンタルしてみようか。

2022/01/06

[absinthe]

面白い。シリアスとドタバタが妙にミックスされた。普通ならトーンの不一致は欠点になるが上手く纏めたと感心。泥棒一家と警察一家の結婚となれば、発想だけでも面白そうだ。ありきたりの様な日常を映した家庭ドラマと、先を読ませぬ警察ドラマが同時並行で走る、緩急の妙。キャラクタはデフォルメされすぎとは思うが、浮いてはいない。事件の背景は凝りすぎちゃったかな。殺人事件の背景だけはもう少しシンプルなのが良かった。

2020/10/27

[修一朗]

最初にドラマを観てしまったので，すでに頭の中で華ちゃんやお父さんのイメージが出来上がってしまっている。深田恭子さんと渡辺篤郎はピッタリだけれども小沢真珠と栗原類は振り切れすぎな感じ。相当かっとんだ想定ではあるけれどそこは横関さんなのでミステリー要素しっかり後味さわやか，は確保した上でのLの一族物語でした。ラストは続編ありきでやや強引だったけども楽しかったです。今，第二話を観ているところ。やっぱりドラマは濃すぎだよねぇ‥　次，ルパンの帰還へ。。

2019/07/19

[イアン]

★★★★★★★★☆☆2019年にドラマ化された横関大のルパンシリーズ第１弾。泥棒一家の長女・三雲華は、交際相手の和馬を含めた桜庭家が警察一家であることを知り、別れを決意する。一方その頃、伝説のスリ師と謳われた華の祖父・巌が他殺体で発見され…。巌はなぜ身元を偽った上で殺されたのか。泥棒一家と警察一家の恋物語という突飛な設定、その勢いのまま物語はクライマックスを迎える。50年前の暴行事件を巡る因縁と、三雲家が企てる一世一代の窃盗計画。リアリティ云々を持ち出すのが野暮に思えるほど、そのエンタメ性は際立っていた。

2024/11/14