内容説明
2017年7月、「核兵器禁止条約」が国連で賛成多数で採択された。1945年の広島、長崎への原爆投下後、核兵器を違法とする条約が国連で採択されるのは初めてである。この採択で、核時代の転換点が訪れたが、日本は唯一の被爆国でありながら不参加を表明した。〈核の傘〉に居続けるとはいえ、なぜ独自の立場を貫くことができないのか。「風下の視点」から最前線で取材してきた著者が、新聞には書けなかった核をめぐる日米外交の舞台裏・秘話に触れながら、核兵器廃絶に向けて、日本がとるべき道を問いかける。
序 章 核兵器禁止条約交渉 日本不参加の真相
第1章 原爆は日本人に使おう ルーズベルト
第2章 原爆使用に悔いなし? トルーマン
第3章 それでも原爆に救われた 核の神話
第4章 オバマが広島にやってきた 和解を演出する日米
第5章 勝利の兵器と風下の人々
第6章 核の桃源郷と負の遺産
終 章 核時代を終わらせるために 日本がとるべき道
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
skunk_c
24
本書のキーワードは「風下」、つまり核兵器や原発事故などの放射能を浴びた人々の反核への思いだ。核兵器禁止条約が国連で採択され、日本が参加しなかったことを受けての出版。ジャーナリストらしい筆致で、オバマの広島訪問の深層を探ったり、ハンフォード(世界で最も汚染されたコロンビア川という、しばらく目にしていない記述もあった)というアメリカ核兵器製造地の現状をルポしたりしている。「核廃絶」という世界的な理想を、なぜ日本が終えないのか、対米従属(『永続敗戦論』を引いている)をひとつの理由としている。そして自前の核武装。2018/12/07
ゆきまさくん
1
核不拡散、原子力利用などの日本を取り巻く諸情報は理解しやすかった。 ただ核の傘など日本が置かれている立場などの本質的な課題については、言及をしつつも、十分に納得できるものではない。 それでもいろいろと参考にはなった。2018/06/04
とっく~。
0
唯一の戦争被爆国でありながら核兵器禁止条約に反対した日本。 核兵器を取り巻く現状と核の傘から抜け出せない日本の今後進むべき道を示した本です。2018/10/23
Akio Kudo
0
★★★ 原爆投下におけるトルーマン大統領の決断の過程や、現在の核の問題を知れるのはいいが、著者の論説や意見がない。2018/07/20
Kazuo Tanba
0
流し読み。核問題担当記者の本とのこと。核兵器は安心料みたいなもの。使っても使われるし、使った後始末も大変。唯一の被爆国が核兵器禁止条約を批准しなかったのが世界はがっかりと言うけど、批准して日本有事の際、その国々が日本を助けるかは別問題。こればっかりは仕方ない。2018/07/01