内容説明
最も過激な中国作家が十のキーワードで読み解く体験的中国論。毛沢東、文化大革命、天安門事件から、魯迅、格差、コピー品まで。国内発禁!三十年の激動が冷静に綴られたエッセイ集。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
まーくん
79
原題『十個詞彙裡的中国』。人民・領袖・読書・創作・魯迅・格差・革命・草の根・山寨・忽悠の10個の単語が紡ぐ中国。余華は現代中国を代表する作家とのこと。私はこのエッセイが初読み。1960年杭州生まれ。文化大革命(1966-76)の下、小・中学生時代を過ごす。一旦、歯科医見習いを経て80年代より北京に出て作家の道に進む。上記10話の中では天安門事件を扱った「人民」と毛沢東に関する「領袖」が強く印象に残る。後半の題材では暴力まみれの文革時代から改革開放の時代に入り経済的発展と伴に金銭まみれの世相の話が中心に。⇒2025/08/23
三柴ゆよし
16
10のキーワードをもとにして、文革時代から現代に至る中国の精神性を明らかにしていく。とりあげられた言葉は、①「人民」「革命」など中国共産党の歴史を語るにおいて最重要のテーゼ=国家の血肉と化した言葉、②「山寨」「忽悠」など現代中国の狂乱を表現する新たな言葉、③「読書」「魯迅」など、作家・余華の生活と活動に関する言葉、の3つに大別できる。私としてはやはり③の言葉についておもしろく読んだ。卓見だなとおもうのは、文革時代と現代とを比較して、社会構造自体は大きく変わったが、精神構造はたいして変わっていないよ、という2017/10/01
Tomoko.H
15
読んだことのない作家なんだけど、いきなりエッセイを読んでみた。著者の視点から近現代中国を考察している。この中では、最後の二語_『山寨(シャンチャイ)』…コピー・模倣品、不正規など『忽悠(フーヨウ)』…ペテン、法螺、デタラメなど_これがThe中国でしょ。みんな何を信じて生きているんだろう。面白いし割と好きだけど、付き合ったり仕事したりするにははかなり難しい相手だ、というのが率直な感想。2018/09/28
niisun
13
作者の生きてきた中国を10のキーワードで語る随筆。前半は作者の少年時代に当たる文化大革命期、後半は作者が作家となった改革開放期。個人的には文革期の話より改革開放過程における“格差”や“草の根”、“シャンチャイ”や“フーヨウ”の項が面白かった。「模倣」から派生して「偽造」「不正規」「悪ふざけ」と意味を拡大した“シャンチャイ”。「絶えず揺れ動く様」から派生して「誘導」「でっち上げ」「機に乗じる」と意味を拡大した“フーヨウ”という言葉が持て囃されているという話に、現代中国の実像を捉えるヒントがありそうですね。2018/03/15
刳森伸一
9
『兄弟』で有名な余華の中国に関するエッセイ集。文化革命時代の貧しい中国と現代の繁栄した中国とが同一の国であることもよく分かるが、それよりも教科書や歴史書には載らない個々のエピソードが抜群に面白い。作者の文学的な自叙伝という側面もあり、その観点からは「魯迅」の章が特にいい。2017/11/04
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