内容説明
ジャーナリストである著者が中東に20年暮らした視点で、その複雑な歴史の概要を簡潔に解説する一冊。またイラク戦争、アラブの春、シリア内戦の現場に身を置いた実体験から中東各国の思惑と動向をたどり、イスラム国誕生に至るプロセスの本質に迫る。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
カザリ
52
中東が安定化する時代は来るのか、考えると難しいなあと思う。それは筆者が言うように中東がユーラシア大陸のまさに中央に位置するからだろう。歴史の必然として、栄枯盛衰の果てに滅亡するならまだしも、中東はその地理的条件から常に他国との緊張があり、歴史のダイナミズムから取り残されたあとも、石油という自分たちの能力以外のところで経済的な基盤ができてしまった。さらに、大国が残した大量の武器。そして、国民国家という妥当な制度になじめなかったかわりのイスラム教というイデオロギー。イスラム教がもっと優しくなれればいいのになあ2017/08/31
クリママ
42
著者は戦場ジャーナリストでありNBC首席海外特派員。大学卒業直後からエジプトで暮らし、中東に20年。一個人の話を全て信じることはできないが、世界で一番中東のことを発信できる人なのだろうと思う。今なお続く紛争の原因をイスラム教の起源から解説し、アメリカの介入、不介入がどういう状況を引き起こしたのか考察する。それは大変わかりやすく、ありがたい。中東の美しい場所が何か所も書かれている。今は訪れることもかなわないそんな場所を、著者はどんなに愛しているだろう。絶望の今に希望の光がさすことを祈り、この本を薦めたい。 2017/09/18
KEI
34
読友さんのレビューで知り、読まなければと思った本。本書は大学卒業後、カイロに渡りアラビヤ語を学び、フリーランスの記者からNBCの特派員となった著者の20年に渡る見分とその分析を述べてある。イスラム教のスンニ派、シーア派による1000年以上にわたる抗争や2つの大戦後の西欧諸国の介入により、混沌化していく様はパンドラの箱を開けてしまったかの様だ。ISの誕生と拡大の経過も良く分かった。破壊された街を追われ、安住の地を求める多くの難民が再び平和な生活に戻れる日が来るのだろうか?2018/07/11
DEE
10
ジャーナリストが書いた中東関連の本を何冊か読んでいるうちに、時に命懸けで行かねばならない理由みたいなものが、少しだけ掴めたような気になる時がある。 テロが対岸の火事ではなくなった今、なにが起きているのか知らないことは一番危険なこと。 もちろん全てを伝えきることはできないしバイアスもかかるだろうけど、それでも。2017/02/18
えそら
6
本の装丁や邦題の体裁が、どうですセンセーショナルでしょう?と言われているようで、誠実さを感じられずに避けていた一冊。レビューにつられて読んでみたら内容の良さに、「どうしてこの装丁、この帯?」と、疑問を感じずにはいられなかった。20年に渡って中東で取材を続けたジャーナリストの生の声から、現在の複雑な紛争の経緯を学ぶことができる。アメリカの歴代大統領の方針の不一致が生んだ状況に関する記述がこの著者ならではだと感じた。2018/02/17
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