内容説明
痴漢は、依存症です。
痴漢の多くは、勃起していない。
痴漢の多くは、よき家庭人である。
痴漢撲滅を目指し、加害者を見つめ続ける性犯罪・依存症の専門家が、社会で大きく誤解されている「痴漢の実態」を解明する。
世間の“痴漢像”には誤解がいっぱい。
・痴漢は女性に相手にされない、さみしい男である。
・性欲をコントロールできないから、痴漢に走る。
・肌を露出した女性は、痴漢に狙われやすい。
・電車内に防犯カメラを搭載すれば、痴漢は減る。
・痴漢よりも、冤罪事件が問題だ。
……など。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
GAKU
69
著者は性犯罪者の研究や依存症教育などにも携わっている人。著者は「痴漢は依存症である」と述べている。実際に痴漢で逮捕され更生を目指す多くの人達と関わっているので、何故何度も痴漢を繰り返してしまうのかという事がリアルに書かれていた。痴漢という行為はあくまでも「性欲の発散」と思っていた私には、斬新な情報でした。「依存症」という病気なのであれば治療しない限り、痴漢が無くなる事はないでしょう。⇒ 2018/07/04
あっか
62
特に問題はないのですが(笑)話題になっていたので読んでみました。物凄くリアルな現状が綴られていて、途中気分が悪くなる箇所も…予防も再発防止もすごく難しいらしいです…でもそんな中で本当に真摯に取り組んでいる著者のような人もいるんだな。どうしてそうなってしまうのか?どうしたら再発防止できるのか?加害者家族になってしまったら?ということも細かく解説されています。痴漢の専門書は本書が初だそう。日本が痴漢大国なのも、痴漢だけやたら冤罪が取り沙汰されるのも、女性側の問題ではなく日本ならではの体質だということに納得。2018/06/13
たまきら
41
この卑劣な犯罪を犯す男にいつも怒りを覚えてきました。けれども、犯罪者を断罪しても次が生まれてくる。問題は男尊女卑が当たり前の社会にもあるのだー「すべての人が幸せになる社会」への提言は許しと寛容、相互理解が不可欠。頭ではわかっていますが難しいなあ。性犯罪者への綿密な取材から見えてくる痴漢犯罪者のデータには驚かされました。ここ。もっと研究を進めてほしいです。2024/07/27
Miyoshi Hirotaka
38
痴漢は犯罪であるとともに依存症。薬物や酒と同じ。98%が男性という性差が大きい病気。反復する、自己を正当化する、嘘をつく、その過程で職を失い、家庭を崩壊させるメカニズムは似ている。痴漢には謝罪文、示談金、勾留は効果が薄いことは統計的に証明され、従来型の懲罰はコスト的に見合わない。懲罰だけでなく、動機の背後にある認知の歪みを治すことが有効だとされている。また、痴漢にはより困難な目標を達成しようとする厄介な特徴がある。従い、性自認を根拠にして未開拓の分野に新たな手法を使って活動を広げることは十分に考えられる。2023/07/17
kanki
27
過度な病理化を避け、二度と女性を傷つけない方法を徹底的に学ぶ。話す、時間かけて認知修正。2023/08/17