内容説明
「今日の世界は、それが私たちに気に入ろうが入るまいが、ヒトラーがつくった世界である(中略)かつて歴史上の人物で、さして長くない生涯のうちに、これほど根底から世界をひっくり返し、しかもその影響があとあとまで長く続いた人間が、ヒトラーをおいて他にいただろうか」(本文より)
画家になり損ねた我の強いオーストリア人青年はいかにして人類史上類を見ない独裁者になったのか? ナチスの興亡を同時代人として体験したジャーナリストがヒトラーの野望の軌跡を臨場感あふれる筆致で描いた傑作評伝。 独自のヒトラー解釈で話題を読んだ名著の新訳版。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ケンイチミズバ
80
末期は狼の巣というブンカー(地下壕)に籠り存在しない師団に指示命令を下していた。図上では戦車軍団がまだ電撃戦を展開しているかのように。ロシアの戦車も侵攻時から半数が撃破されているらしい。停戦を提案する裏切り者を次々に処刑し、毎朝鏡を見ては鼻の下にちょび髭が生えているのではないか、動揺しながらプーチンはあの男と自分が生き写しなのを悟る。だれも近づけない。誰からの言葉も耳に入らない。プーチンよ、正にお前こそがナチ、ヒトラーではないか。拡大する国境、自己目的化する戦争。同じ末路が待っているのではないだろうか。2023/02/24
HANA
57
原著は1978年刊行。帯に評伝とあるが、実際の内容はヒトラーの行動とその背景を分析したもの。読むにあたってはヒトラーの生涯についてある程度知っておく必要があるので、初心者向けとは言い難い。分析については、著者がその時代を生きただけあって、独特の視点が楽しめる。40年前の作品だけに定説となっているのも多いし。ただその部分についても著者の推論による部分が大きく、素直に頷けないところもある。特にアメリカに対しての宣戦布告の部分など。それでもやはりこういう分析は新しい視点を開かせてくれるので読んでいて面白かった。2018/07/30
スー
27
116ナチス政権下に亡命したジャーナリストがヒトラーを考察した本です。ヒトラーは人間関係の構築能力ダメ・学力ダメ・仕事ダメと社会能力が絶望的にかけているとし優れているのは弁舌と軍事能力のみとしています。軍事能力では先見の明があり当時の将軍達と遜色なしと高く評価していたのは驚きです。他にもヒトラーは勝利に酔い暴発したわけではなく当初からの予定を冷静に遂行していた。しかしソ連侵攻が冬の到来で頓挫した時点で敗戦を知り後はユダヤ人の虐殺を行う為の時間稼ぎの戦闘続けたとしている。あとはドイツ人そのものに失望し最後は2021/10/08
№9
23
これは稀代の名著だ。これほど論旨明確かつ平明な筆致でズバリ、ヒトラーの正体を解き明かす書を私は知らない。過去の事象を現代の視点で、さも上から目線で解くことの愚はよく言われることだが、本書はヒトラーの業績や能力も評価しつつ、怒髪天を突かずにはいられない所業も明らかにする。驚いたのはヒトラーを著者は「左翼的ポピュリスト」と看破していることだ。「えっ⁈」と誰もが感じることだろう。考えてみれば、先の参議院選挙でもこうした政党が議席を確保している。まさか、と高を括っていてはいけないのだと、本書は教えてくれてもいる。2019/08/03
こちょうのユメ
17
面白かった。のっけから「高さもひろがりも持たない1次元の世界、これがこの男の人生を決定づける大きな特徴だ。この男の人生には、人間の生活に重みや温もりや誇りをあたえるものがまったく欠けている」との指摘にひきこまれる。ヒトラーは異常な存在として、世界に破壊的な影響を与えた。彼はふたつの目的を追い求めていた。世界支配とユダヤ人の絶滅。しかし、これらが実現不可能になったとき、彼が人生最後に立てた目標はドイツを滅ぼすことだった。こうして、人類は独裁と人種偏見主義の危険性を深く知ることとなった。分析と批判が秀抜だ。2025/01/18
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