内容説明
「私は子どもたちの父親なのです.私だけがどうして」自分だけにさしのべられた救いの手を拒絶し,教え子たちとともに死の収容所トレブリンカ行きの貨車へ…….ポーランド系ユダヤ人で「子どもの権利条約の精神的な父」と言われる教育者コルチャック(一八七九‐一九四二)の壮絶な生涯を描き,その先駆的な人権思想を辿る.
目次
目 次
序 章 トレブリンカ叛乱
第1章 ぼくはユダヤ人──コルチャックの前半生
第2章 黄金の地クロフマルナ──二つの孤児院
第3章 子どもの自治──ホームでの生活
第4章 コルチャックと人権思想──「子どもの権利条約」
第5章 暗雲──第二次世界大戦前夜
第6章 ワルシャワ・ゲットー──マリンカの見た地獄の町
第7章 トレブリンカへ──ロムチアのほほえみ
終 章 コルチャックの森に立って
あとがき
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェネツィア
277
何度も救出される機会があったのに、コルチャック先生は、約200人(ナチスが全ての書類や痕跡を抹消したために、正確な数字は不明)の子供たちとトレブリンカ絶滅収容所(ポーランド)でガス室に送られたか、あるいは銃殺された。医師であり、教育者であり、作家であったコルチャックの生涯は、最後の最後まで子どもたちに寄り添っていたのである。本書は、彼が生きた時代のポーランド、およびその時代にユダヤ人たちが置かれていた状況と、コルチャック先生の行動とを残された資料から可能な限り忠実に語った伝記である。⇒2026/02/23
nico
31
子ども向けかと思いきや、歴史や子どもの人権の理念についても詳しく書かれていて大変勉強になった。孤児院では子どもを対等な存在として扱い、「子どもの裁判」を自主活動の要としておいていて、晒しあげの場にならないようなシステムの構造、そして厚い信頼関係が築かれていたんだろうなぁと感じた。危機を察していたならどうにかして逃げて欲しかったという気持ちでいっぱい。トレブリンカへ移送されるシーン以後は、涙なしで読めなかった。虐待のニュースが相次ぎ、親による体罰禁止の法改正も決定した今、幅広い年代におすすめしたい1冊。2019/03/27
Nobuko Hashimoto
23
コルチャック先生は、ポーランドの著名な作家、教育者、医者で、孤児院を創設し、1942年にユダヤ人の子らとともにトレブリンカ収容所に移送されて亡くなった。その生涯と、教育者としての思想や活動、ポーランド史、ポーランドにおけるユダヤ人について、よく理解できた。また彼らが運ばれた収容所の見取り図や、同収容所の数少ない生存者の証言、亡くなった人たちを追悼する石碑の写真や、亡くなった人たちの灰や骨の山の写真もある。コルチャック先生を知る数少ない生存者の貴重な体験談も紹介している。ワイダ監督の映画と併せてどうぞ。2017/03/13
Nobuko Hashimoto
21
輪読ゼミで取り上げるので再読。あらためて濃い内容をわかりやすくまとめているなあと。平凡社ライブラリーの近藤二郎『コルチャック先生』の子ども向けという感じだが、お二人はご夫婦だった。康子氏はフランス語版からコルチャックの作品を翻訳している。2019/01/03
ももたろう
21
教育者として子どもに愛情を注ぐとはどういうことなのか。コルチャック先生の言動と行動に、その答えの全てがあると確信する。ポーランドの巨匠、アンジェイ・ワイダ監督による映画は、もはや教育に携わる者や、教育者を志す者にとっては必見の映画だと思う。こう言う映画を観ることで「言葉では説明できない何か」を感じることができる。言葉では説明できない何かこそ、日々のエネルギーへと変わる。素晴らしい作品だった。2017/09/10




