新潮クレスト・ブックス<br> おじいさんに聞いた話

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新潮クレスト・ブックス
おじいさんに聞いた話

  • ISBN:9784105901400

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内容説明

「ハッピーエンドのお話はないの?」「だってこれはロシアのお話だからね」――サンクトペテルブルクに生まれ、ロシア革命にともなってオランダに帰国した祖父が語る、悲哀と滑稽に満ちた人生の物語。『ハリネズミの願い』の作家による宝箱のような掌篇集。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ケイ

140
ロシア革命のあと、オランダに逃げたお祖父さんがしてくれた話。おじいさんは少し嘘を交えて話すようだ。また、感情を排して語っているようだ。それは、長い間持ち続けた記憶の中に空想が入り込んで境界がなくなっていったからかもしれない。ふと語られる話だから、順番は関係なしになんとなく一つか二つの短編を読んでいくのがちょうど良さそうだ。感情があまり見えない中で、皇帝の様子だけが生き生きと蠢いて見えた。2017/10/09

KAZOO

134
他の方も書いておられるのですが、この作者のハリネズミの話や表紙から感じる物語は結構あたたかな物語が多いと思っていたのですが、結構厳しい感じのものでした。ただそれなりに心に残る話が多かったという気がします。作者が実際に聞いたおじいさんの話なのでしょう。私にはいい本でした。2018/07/04

藤月はな(灯れ松明の火)

99
ロシア革命時にオランダに亡命した祖父。淡々と過去に起きた事、見聞したことを語るので個人の思い出ではなく、ロシア革命以来、強烈なイデオロギーに押し込んできた人々を示す寓話にも思える。そして祖父が語る皇帝像は猛々しく、どこか神聖を帯びている。だからこそ、神と皇帝を混同しているような語りは寄る辺を喪った子供のように痛ましい。2017/10/11

fwhd8325

95
Twitterで彩瀬まるさんが、大好き!と勧めていた作品です。短編集ですが、どの作品も不思議な世界観です。不思議な世界観というのは、わけがわからないではなく、全く知らない物語でありながら、そう感じさせない感覚でした。味わいや余韻そういった響きが残る作品でした。彩瀬さんがは、混沌と不条理と表現されています。2021/02/20

mocha

84
ロシア革命の時代、オランダに移り住んだおじいちゃん。悲観と虚無感を漂わせつつも祖国の思い出を語り続ける。どの話もやるせないのだけど、ロシアってそういう国なんだから仕方がない。本当か嘘か作者のフィクションか判然としない昔語り。悲劇的な中にもユーモアがあって、懐かしい故郷への愛が感じられる。2018/12/13

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