出版社内容情報
サピエンスの「進化」に照らせば、人間とは本来どのような生き物なのか、現代社会の抱える諸問題の根源に何があるかが見えてくる! 日本を代表する女性科学者として様々な社会課題の解決に貢献してきた著者が、進化の基礎知識から、リーダーの資質、Society 5.0への疑念まで縦横に語る。
内容説明
ホモ・サピエンスは、生物としては20万年前からほとんど進化していない!「ビッグヒストリー」で紐解けば、現代社会の見方が変わる。
目次
1 ヒトの進化とは
2 ヒトの特徴
3 ヒトとヒト以外の動物たち
4 ヒトと食
5 考えるヒト
6 共感と文化
7 集団の圧力やひずみ
8 地球環境問題
9 進化環境と現代社会のズレ
10 ウィズ・コロナの世界で
11 遠くへ行きたい
12 これからの日本社会に必要なこと
著者等紹介
長谷川眞理子[ハセガワマリコ]
1952年東京都生まれ。1983年東京大学大学院理学系研究科人類学専攻博士課程単位取得退学。理学博士。専門は行動生態学。現在、総合研究大学院大学名誉教授・日本芸術文化振興会理事長(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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trazom
94
長谷川先生が縦横に語る。ホモ・サピエンスの誕生から20万年の歴史の中で、その90%をヒトは狩猟採集民族として暮らしたと強調する。それに比べ、現代の都市生活は持続可能でないだけでなく、少しも心地よくないと断言する。ましてや、狩猟採集社会→農耕牧畜社会→工業化社会→情報化社会→Society 5.0へと進化するという「進歩史観」は受け容れ難いと。自然人類学者として、現代の個人主義、資本主義、自由市場経済を鋭く批判する長谷川先生。「懐疑主義と批判精神を楽しいと感じる人が学者」だという信念に基く現代社会論である。2023/11/10
ta_chanko
19
現代社会はものすごいスピードで変化している。しかし、我々の脳や遺伝的特質は、ホモ=サピエンスが出現した20万年前とあまり変わらない。狩猟採集から農耕牧畜へ、工業化と情報科、そしてAIの発展…。『スマホ脳』にも述べられていたように、我々の脳は現代社会に適応できていない。それでも社会の進化は止まらない。『サピエンス全史』では、われわれは「虚構」を信じることができる特異な存在であると主張されていた。虚構と欲望を肥大化させ、我々人類はどこへ向かうのか?2023/09/28
harumi
5
各項目が2ページで終わるので読み易かった。ヒトが地球に登場してから20万年も経つが、その進化史の90パーセント以上を狩猟採集者として暮らしてきた。どんなに生活が変化しても私たちの根っこは狩猟採集民のまま。メタボリックシンドロームなど、現代人が抱える健康問題は私たちの体が飽食についていけていないということ。環境破壊も、地球は狩猟採集生活には適していても現在の高エネルギーを必要とする生活には向いていない。貨幣経済も、私たちがお金を使うようになって数世紀。まだお金を使いこなせていないのでお金に振り回されている。2023/12/25
けん
4
★4.02024/06/29
foresthills
3
私たちのからだの基本設計は、20万年前からの狩猟採取生活に基づいているのに、現代のあり様は人間にとっても地球にとっても無理のあることなのだと、學びました。読みやすかったです。2024/01/05
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- 和書
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