内容説明
美術探偵・神永美有が活躍する人気シリーズ第二弾
「岡倉先生は、いはゆる筆を持たない芸術家でありました」。日本近代美術の黎明期にオルガナイザーとして君臨した岡倉天心が自ら描いたという仏像画が発見されたという。
東京から京都に移り、美大の准教授となった佐々木昭友は、件の岡倉天心の墨絵を勧められる。さんざん逡巡する佐々木を尻目に、500万円で落札したのは誰あろう神永美有だった(表題作)。
その他の収録作は、岩波文庫の表紙のデザインをつくった平福百水の切絵の真贋を巡る「文庫本今昔」、奇妙な柱時計の由来を探る「マリーさんの時計」、山水画の真贋と日本と中国の間にわだかまる歴史問題を絡めた「どちらが属国」、レンブラントの模写が生まれた経緯を巡る「レンブラント光線」。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
散文の詞
166
-天才までの距離-岡倉天心って名前くらいは聞いたことあるけど、その人の直筆画の真贋を推理する話。ちゃんとした答えなんかでないだろうになんか、うんちくが鼻につく。 -文庫本今昔- 平福百穂と聞いてもしっくりこないけど、岩波文庫の表紙というとなんとなくイメージできます。その切り絵についての話です。これも、うんちくが鼻につきます。 -どちらが属国- 「日本は中国の属国」という発言にイヴォンヌが激昂。水墨画の真贋対決というながれで、どっちでもいいけど、これは結構面白かった。 2022/10/31
れみ
99
美術探偵・神永美有シリーズ第二弾。天才“までの”距離ってそういうことか~と思いつつ。東京と京都で離れていながらも、佐々木先生と神永さんが相変わらず仲良しで微笑ましい。表紙になってるレンブラントの絵は知ってたから、最終話がいちばん読みやすかったかな。神永さんの舌はまだ発展途上らしいから、次の巻もどんなことが起こるのか楽しみ。2018/12/08
いたろう
75
シリーズ第2弾。前作の東京の女子短大の講師から、京都のZ大学造形学部の准教授になった佐々木昭友。東京の神永美有と距離はできたものの、美術を巡る関係は途切れない。が、今回は、神永の登場場面は幾分少なめ。今作では、日本美術会に多大な功績を残した「筆を持たない芸術家」、岡倉天心が描いたと言われる絵の真偽、岩波文庫の葡萄唐草の装丁を描いた平福百穂の作と言われる作品の真偽、牧谿の水墨画の贋作とされる画の真偽などがテーマになっている。前作で強烈な印象を残した佐々木の元教え子、イヴォンヌが、今作でも登場するのが楽しい。2022/02/13
ユメ
42
シリーズ第二作。佐々木が京都へ移ったことで一時は断絶したかに思われた神永との交友は、二人のあいだの「距離」が却って関係を好ましく熟成させているようで安堵した。やはり主役はこのコンビでなければ。神永の美術品の真贋を判定する舌は相変わらず冴え、その推理は華麗である。作中に出てくる岡倉天心の直筆画などはむろん架空の作品だが、佐々木と神永が巡らす議論に耳を傾けることは、実際に絵を美術館でこの目にしたような充足感をもたらす。自分の中に眠っていた知的好奇心が激しく掻き立てられる。「レンブラントは死んでない」は至言だ。2018/03/03
み
36
さくさくと♪イヴォンヌさんが居たから楽しく読めたような…。美術方面の知識があればねぇ、と思いました。最後のお話しは一体何?佐々木先生はイヴォンヌに振り回される係じゃなかったの???2015/12/18
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