内容説明
靴職人を志す高校生・秋月孝雄(あきづきたかお)はある雨の朝、
学校をさぼり、日本庭園で靴のスケッチを描いていた。
そこで出会った謎めいた年上の女性、ユキノ。
やがて二人は約束もないまま雨の日だけの逢瀬を重ねるようになり、
心を通わせていくが、梅雨は明けようとしていた……
思春期ゆえの内面の機微を繊細に描き出すことで、
主人公・孝雄(たかお)の心情に迫る加納新太版ノベライズ登場!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
みかん🍊
91
映画を見てないので読んでみた、雨が降ると高校をサボって日本庭園で過ごしていたがそこで出会った不思議な女性と雨の日だけ一緒に過ごす、みんなと一緒でないと不安を感じる人は多い一人の時間を過ごせる、苦にならない孤独を愛するが決して社会生活から逃げている訳でもない、そういう事の出来る人は年齢ではなく大人なのだと思う、靴を磨く、そんなに丁寧に磨きあげるという事を普段あまりしてないなと反省した。この作品はやっぱり映像で観る方が風景の美しさが分かっていいかもしれない。2017/09/04
ひめありす@灯れ松明の火
68
ひとりで大人になる事を選んだ青年と、一人では大人になれなかった女性の物語。何処へも行けなくて、本当の事を喋れなくて。雪野ちゃんはまるで人魚姫。でも孝雄もまたその過敏すぎる神経故にうまく呼吸が出来なかったんだろう。鰓呼吸の二人故に、雨の中の世界は二人が生きやすい金魚鉢の世界だったのかもしれない。物語の最後、雪野ちゃんは故郷の離島で教師を続けていると語る。橋を渡って。彼女はもう、一人で歩けるだけじゃなくて、どこへ行くかも、境界を渡る事さえできるのだ。だから、きっと二人が再開するのはそんなに遠くない、未来の事。2018/03/11
あおでん@やさどく管理人
43
一貫してタカオの視点から描かれた、もう一つの「言の葉の庭」の世界。映画や新海さんの小説版では描かれていない、オリジナルの場面もある。個人的に印象に残ったのは、彼が製靴専門学校の体験入学に行くシーン。講師の言葉が深い。2018/05/13
ゆきちん
42
映画も観ず。雨が苦手な15歳のタカオ。彼が1人になりたくて逃げ込んだ都心の公園の東屋でひとりの女性に出会う。パリッとしたスーツにボブカット。そしてビールをあおる彼女。そして暗号のように残された古文。雨の日には必ず会うようになり。…1人でやっていこうとするとタカオ、靴職人目指して頑張るタカオに、そんなに駆け足で大人にならなくてもーって思ったり、頼もしく思ったり。そして彼女!12歳差かぁ。大丈夫、いけるって!2018/12/18
あおでん@やさどく管理人
36
【読書会に向け再読】タカオの視点だけで描かれていることもあり、映画や新海さんの小説版より靴作りに関する描写が多い。どういう思いで一つの靴を作っていったのかが分かる。2019/05/31