内容説明
明暦の大火のあと、日本橋の刀屋に長曽祢興里という男が無骨な刀を持って現れた。旗本にして死体を試し斬る役の鵜飼家の娘邦香は、鬼姫と呼ばれていた。越前で甲冑師であったという興里の鍛えた刀に魅せられた鬼姫は、自ら死体を重ね試斬して確かめる。無類の斬れ味がやがて評判を呼び、鬼姫や刀屋の幸助の助けもあり、興里は不忍池のほとりで刀鍛治として名を馳せていく。ところがある日、興里は吉原一の花魁勝山に突然招かれる。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
goro@the_booby
40
年に何度かは背表紙に引かれて手に取る本がある。感想は下巻に譲るが、これは当たりの面白さ!ショウヘイはショウヘイでも長辻象平翁!いいね~いいよ~好物発見でございます。いざ下巻へ参る。2024/05/07
rakim
7
刀鍛冶虎徹の物語は10年以上前に山本兼一さんの「いっしん虎徹」(文春文庫版)で読みましたが長辻さんのはそれより少しエンタメ色が強い感じです。山本さんが夫婦の物語になっていたのと違って、こちらは登場人物がいかにも小説的で違った面白さ。下巻へ。2025/04/03
タツ フカガワ
6
長曾禰興里(ながそね・おきさと。のちの虎徹)は50歳から作刀を始めた江戸初期の名刀鍛冶。本書は彼の作刀での苦労苦難を物語るのではなく、美貌の剣士で旗本の一人娘鬼姫との出会いから、時代の活気や賑やかさが浮かび上がってくるのが面白い。尾張柳生の柳生連也斎や由比正雪の隠し軍資金なども絡み、虎徹が吉原の人気花魁勝山太夫に秋波を送られたところで下巻に突入です。2018/02/08
ぶーにゃん@積ん読本解消中
4
江戸初期の刀工、虎徹が甲冑師から刀匠へ転職するため、故郷から開府して間もない江戸して間もない江戸に出てくる。作刀の過程で粘りと強靱さを両立させるために古い錨や釘といった鉄の純が高い古鉄を混ぜるという独特な技法を新刀期で確立させていく模様は山本兼一「いっしん虎徹」と同様でしたが作刀に女剣士を入れるところがこの作家さんのオリジナリティかな?刀鍛冶の場は女神が主神のため、嫉妬されないように女性を入れないことになっています。この根強い迷信を柔軟に対処する虎徹の姿に現代を感じました。2017/08/11
桜絵
1
江戸時代の刀匠・長曽禰興里と、試斬家の娘・鬼姫の連作短篇集。 感想は下巻にて。2017/10/15