内容説明
周囲がドイツとの戦争へ突き進むなか、自由への飢渇、若き孤立感と格闘しつつ成長し、〈異境の流謫者〉の如く魂の聖域と真の住処を求めて、新たな地へ旅立っていく。「人間の経験の全てを文学に託すという最も壮大な不可能をやり遂げようとした」(フォークナー)巨人作家の傑作。
目次
第二部(つづき)
第三部
解説 後藤和彦
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ゆたち
2
なかなか頭に入ってきづらい部分もあるが、大学の授業風景、両親との軋轢、家族の死など、どの場所、いつの時代でも変わらないトピックについてはこれ以上ない説得力を持って伝わってくる。 兄を看取った後の感情を「ぐったりとした喜び」と表現(翻訳)しているのはすごい。飼ってた犬が死にかけたとき、夜中吠え続けて、朝方息を引き取った時のことを思い出しました。2020/07/14
たけべ まい
0
自伝的作家トマスウルフの処女長編下巻。それぞれがそれぞれの荒々しさをうちにもち、ぶつかり合う家族の関係性と歴史を丹念に辿りながら、主人公ユージーンが家族との決別を決意し、ハーバード大学へ進むまでが描かれる。 トマスウルフのリリシズムはとてもいいですね。 備忘メモ 501p 「何を思い出したいのだ?」 石一つ、葉ひとつ、見出されぬ扉一つ。そして、忘れられた顔と顔。 「僕は名前を忘れ、顔を忘れ、ささやかな追憶を忘れる。桃にとまったところをそのまま呑み込んでしまったあの蝿のことは覚えている。……」2022/01/23