内容説明
湖面に浮かぶ無残な死体。自供した男が一転、無実を訴え自殺。真実はどこに消えたのか――
アメリカの静かな田舎町で、湖から女性の凄惨な死体が見つかった。ナイフで刑事を刺し、逃走を図った若い男が直ちに逮捕され、犯行を自供する。だが男は留置場で自殺。両手首にインクカートリッジを突き刺し、血塗れの壁には無実を訴えるメッセージが残されていた――。地元警察の失態により緊急招集されたジョージア州捜査局特別捜査官ウィル・トレントは、男の自供に疑問を抱くが……。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
W-G
323
今までの作品と比べると、起こった事件自体はかなり普通というか、地味。にも拘らず、前作から登場したサラの、パーソナルな部分にいきなり深く踏み込んで、彼女のホームグラウンドに、ウィルを単身放り込むことで新鮮さが生まれている。新たに登場したレナも、刑事としても人としてもパッとしない印象の割りに、おいしいところに絡んできているので、今後の主要人物になっていきそう。それにしても、サラが主人公のグラント郡シリーズが未訳なことが悔やまれる。レナやフランクが、そこでどう描かれているのかがとても気になる。2019/06/29
のぶ
73
まだ上巻を読む限りだが、そこそこに楽しめる作品になっている気がする。話の印象としては比較的シンプル。田舎の湖で女性の死体が見つかる。容疑者は逮捕され犯行を自供するものの、留置所で自殺する。この二つの出来事の関連は何なのか?容疑者は本当に自殺なのか?上巻では淡々とした捜査が続くが、長さの割に登場人物が多いので、その周辺の事情を読んでいたが、それらの人物がこの先どんな風に真相に関わってくるのか?このまま下巻に入ります。感想は下巻で。2017/09/03
巨峰
71
留置場の中で自殺した少年は本当に殺人犯なのか。それとも、冤罪か。ウィル・トレント特別捜査官の推理が序盤から冴える。下巻も楽しみです。2018/09/18
future4227
57
『ハンティング』の続編。前作でサラが異常な憎しみを燃やしていたレナが今回のメインだ。サラが彼女を毛嫌いする理由が徐々に浮き彫りになってくる。今回は今までのようなおぞましい拷問とかはなく、普通のミステリーとして平常心で読むことができる。そして、ロマンスに発展しそうで発展しないサラと特別捜査官ウィルとの関係も気になる。識字障害を悟られずに、敵意むき出しの警官を相手に捜査を進めるウィルがなんとも頼もしい。事件の真相を暴くのはウィルか、サラか?下巻へ。2017/12/11
たまきら
51
気が滅入る南部の貧しい、行き詰まって出口が見えない人々の生活がリアルに描写されています。貧困や暴力の連鎖、「善人などどこにもいない」醒めた人間描写。作者の人生観は殺伐としていて、主人公がすべてを肩に背負っていて、だからこそ夫を失った街に感謝祭休暇で戻った医師を受け止める愛情あふれる家族や、「これから帝王切開なのよ!」とカウントダウンするパートナーの存在が温かい。あっという間に読んでしまいました。下巻へ。2018/06/14