内容説明
「世の中なんて、不思議な出来事が簡単に起きるくらい、くだらねえもんだな」魔術団の女が残したゼンマイの小箱をたよりに、モロッコへとオトコ二人の珍道中。見つけたのは、ひとりの女か、それとも人生か──。野間文芸新人賞受賞の新鋭による最新傑作小説。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
yoshimi
33
初読み作家さん。まったくの赤の他人である男性ふたりが、ひょんな事からモロッコへ人探しに出掛ける物語。捉えどころのない登場人物たち、異国情緒溢れるモロッコの描写。とても幻想的で現実的で面白かった。ほかの作品も読まなければ。2017/09/19
tomi
31
遥かな昔、魔術団にいたベルベル人の愛人を探しにはるばるモロッコへ行く老人・竹柴と、付き添いの「わたし」との珍道中。竹柴が大切にしているのが、女から譲り受けた魔除けのゼンマイの小箱。「ジプシー魔術団」に関わった者が相次いで変死しているのは実は何かの呪いなのか? ユルくてウサン臭くてほろ苦い、戌井ワールドです。2019/03/02
プル
25
予想通り、お国を変えても、いつものネタ(シモネタ、薬物)が仕込まれて…というよりそればかりですが…いつも読んでしまいます。国を跨いでスケール大きくなりますが、胡散臭く、ゆるすぎる倫理観をはべらせて、どことなく、実は大きな悟りを伴った人生観がちょろっと顔を覗かせます。戌井さんの作品を読むと、「脱力」させる…薬物のような、力や魂を抜かされるような…相変わらずそんな読物です。何かを期待して読んじゃいけません。「くっだらない」と一言で片付けることもできる作品ですが、また、読みたくなるのはなぜなんでしょう?2017/10/03
そうたそ
24
★★☆☆☆ 魔術団の女が残したゼンマイの小箱を頼りに男二人がモロッコへ。二人の珍道中を描く中編。今までの戌井さんの作風とはまた違った味わいのある作品。従来の作品が好きだった者としては、この作品はあまり好みではなく……。どこか現実離れしている感じがなんとも言えぬ味わいを出しているんだろうけれど、前作の「酔狂市街戦」の方が断然面白かった。2017/07/28
Miya-G(みやじい)
22
戌井作品の面白いところは、訳が分からない所だろう。貧乏でスケベイであんまり上手く行かない所が面白い。今回はオッサン二人が一人の女性を探して、ゼンマイを巻きながらモロッコを旅する話。変な薬、女、ゼンマイとミントティー。話のテンポと異国感がステキ。2018/05/25