内容説明
タカラジェンヌの母をもつ一瀬蘭花(いちのせらんか)は自身の美貌に無自覚で、恋もまだ知らなかった。だが、大学のオーケストラに指揮者として迎えられた茂実星近(しげみほしちか)が、彼女の人生を一変させる。茂実との恋愛に溺れる蘭花だったが、やがて彼の裏切りを知る。五年間の激しい恋の衝撃的な終焉。蘭花の友人・留利絵(るりえ)の目からその歳月を見つめたとき、また別の真実が――。男女の、そして女友達の妄執を描き切る長編。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ミカママ
599
タイトルからきっとソッチ系のお話だろうと身構えて読み、途中の伏線もちゃんと拾うことができた。女同士の友情あるあるのオンパレ。3という数字は良くない、割り切れないからね(わかる人にしかわからないレビュー)。蘭花ちゃんのお母さんが好き。元タカラジェンヌだもんなぁ、なにしても許されるよなぁ。2019/12/10
ミカママ
551
えええええぇぇぇ、再読だったとか(笑)いま読メ開いて初めて知ったよ(笑)わざわざ日本から紙で購入してきたのに。さて、今作の要点はあとがきで山本文緒先生がさくっとまとめてくださっている。「いくら友情をはぐくんでも、女性の幸福の完成には異性のパートナーが必要」←ココ。わたしも100人の頼りになる女友だちよりも、ひとりの彼氏が欲しい(笑)これは、学生時代の友人(全員女性)も去年再会したとき言ってて「さすが類は友を呼ぶ」だって笑ったな(笑)2024/09/11
W-G
513
実は初辻村深月さん…だったと思う。書店で打ち出されていて、それほど長くもないのでいいかなと読んでみた。細かすぎて伝わらないモノマネばりの、女性の闇あるあるを随所で上手く披露しながら、先へ先へと読ませる力量は流石の一言。ただ、肝心のストーリー自体が味気なさすぎて、著者の本領が存分に発揮された一冊ではないのだろう。ラストのどんでん返しがやたら中途半端。とにかく長い作品が多く、しかも世界観を共有しているものもたくさんあるようなので、いつかはじっくり攻略するとは思うが、今回はスイッチ入らなかった。2025/08/16
さてさて
497
<恋>と<友情>の二編からなるこの昨品。明暗がハッキリしている分まだ救いがある<恋>に対して、最初から最後まで光の当たらない日陰の世界を描く<友情>。そこで蠢く『盲目的な友情』の沈鬱さ、もどかしさ、凄惨さ。『どうして、いつの日も、友情は恋愛より軽いものだというふうに扱われるのだろうか』という留利絵の心情を現したこの表現。この両者を冷静に比較して考えることのない日常の中に新鮮な驚きを与えてくれるこの表現。淡々と描かれる一人の女性の情念の世界の中に『友情』って何だろうと改めて感じた、とてもダークな作品でした。2021/05/21
ろくせい@やまもとかねよし
445
山本文緒さん解説「切れ味のいい美しいナイフのよう」が言い当てる。大学オーケストラで集った大学生らをめぐる。同じ時間と空間を過ごした2人の女性。鋭い心境で展開。容姿に恵まれるが、初めて精神的肉体的共有した男性に囚われる女性。容姿に恵まれず、姉妹や友人の対比の中で自己肯定を築く女性。容姿や社交性など持つものと持たざるものの不条理な格差の表現だったのだろうか。否、多様な人間意識の存在の表現ではなかっただろうか。内を志向する意識。外なしでは確認できない意識。そして同じ景色でもそれらの意識は決して重ならないことを。2021/01/26