内容説明
百に及ぶウッドハウスの全小説中もっとも複雑で凝りに凝ったプロットを持ち、英国ウッドハウス協会元会長をして“全作品中のベスト”と言わしめた傑作長編小説。絶好調ユーモア・シリーズ第8弾。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェネツィア
274
シリーズ8作目にあたるようだが、本書では残念ながらジーヴスの活躍は控えめだ。私が読んだのは『サンキュー、ジーヴス』とこれだけなので何とも言えないが、語り手のバーティーとジーヴス以外は新出の登場人物たち。物語全体は4組もの恋人たちが錯綜するために、幾分散漫な感も否めない。もっとも、軽妙なテンポで展開するお芝居と割り切って楽しむべきものなのだろうが。シェイクスピアの喜劇を現代に甦らせたといった趣きだろうか。おそらくは、この作品単体で読むよりも、シリーズを通して読んできた読者に、より好意的に迎えられそうだ。2015/07/11
ケイ
94
ジーブスシリーズ読了3作目。いよいよジーブスも恋に落ちる?と期待したら、おきまりの結婚希望カップルの登場が、今ままでは2組だったのが4組だった。ジーブスは、頼りになるようで、シチュエーションをややこしくしいる張本人なわけだから、最後の頼りになる感じも、ここまでややこしくなる前にもっとしようがあったろうと突っ込みたくなる。それにしても、執事同士のお喋りほど、情報があふれているものはそうはないのではないだろうか。2015/10/12
優希
74
4組の恋人たちが入り乱れ、ドタバタ喜劇が繰り広げられます。まさかの入れ替わりまであるのだから面白くないわけありません。危機を救うべく動くのはバーディーとジーヴスのコンビ。4組が結婚まで辿り着くよう奮闘するバーディー。ジーヴスはバーディーの窮地を救っているようで陥れているように見えました。結婚を企むバーディーなのに、自分となるとどうやって結婚から逃れるかを臨んでいるのにおかしみを感じます。ジーヴスがもつれた恋の糸を一気に解きほぐすのもスッキリしました。登場人物が多い分散漫とした印象ですが、面白かったです。2015/07/23
扉のこちら側
67
2016年20冊め。シリーズ8作め。今回はカップルが二組で、いつもより混戦気味。しかしかわいそうなバーティは相変わらずで、まさに「ドラえもん」的なお約束を楽しむ。2016/01/11
星落秋風五丈原
50
友達のためなら金を出し、一肌でももろ肌でも脱ぎそーなバーティは、とってもいいひと。なのに恋愛にとんと縁がなく、なぜか彼の周りは恋バナでいっぱい。「どこまでドジをやればいいのか」とバーティに呆れ、「どこまで厚かましいのか」と友人達に呆れつつも、根本的には悪い人達ではないお気楽サマ達のすったもんだに、ひととき世の中の憂さを忘れて大笑い。キャラ達が、次から次へと別人に成り済ましてゆくのは、シェイクスピアのパロディ?なんてのは考え過ぎか。そろそろバーティにも春が来て欲しいもんである。2008/03/26