内容説明
米国国防総省VS北朝鮮工作員。
北朝鮮工作員が命がけで守ろうとしたもの、それは――。
旧防衛庁出身作家の渾身作にして、第3回大藪春彦賞を受賞した大傑作エンターテインメント、手に汗にぎる上巻!!
きわめて精巧に作られた偽造紙幣“スーパーK”の運び屋と目される北朝鮮工作員が、秘密裏に日本に入国した。
来日前、ソウルで激しい銃撃戦を起こした工作員・チョンは、現場に文書を残していた。
米国国防総省(ペンタゴン)直轄の情報機関に所属するアナリスト・葉山隆に与えられたのは、“チョン文書”の解読と、日本でチョンが潜伏する場所の手がかりを探ることだった。
上司・エディからの命令に、しぶしぶ調査を進めていた葉山は、チョンと深い縁があると思われる日本人女性とその息子の存在に行きあたる。
同じ頃、在日米軍横須賀基地にある海軍調査局(NISC)に勤める坂下冬樹のもとに、岩国駐留の米兵が偽ドル札をつかまされたという情報が入る。
ストリップ劇場や米兵の集まるクラブに現れた東洋人が両替を持ちかけたものらしい。
偽ドル札は、従来水準をはるかに超える優れた代物で、大量に出回れば深刻な問題に発展することが予想された。
同時期、北朝鮮では対外情報調査部に勤める夫を持つ女性・李光朱と、その娘・春花が、長期帰郷の名目で平壌(ピョンヤン)から北へ向かっていた。
二人は白頭山(ペクトウサン)を望む山あいの町・茂山(ムサン)にたどり着く。
十月十日の朝鮮労働党創立記念日、二人は中朝国境を越える準備をしていた。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
kei302
53
えーーー!! ひどい、ここで次巻に続くなんて、胸が張り裂けそうです。新装版は上下2巻。鉱物シリーズ第2弾、なのにシリーズ第1作目が絶版だそうです。祖国を捨てるのが罪だと言うなら、どうかわたし一人を罰してください。持ち出した装飾品や金を娘の春花の胴巻きに巻き付けるシーンは深く重く心に響きます。2020/09/23
Rin
50
[再読]角川さんで復刊のため再読。やっぱり何度読んでも胸が熱くなる。アナリストの葉山やエディ、坂下もいるけれど。でもやっぱりチョンと彼の家族に目がいく。深い深すぎる家族への愛と信頼、互いが互いを想う強い気持ち。相手のためなら血を流すことも、苦境を歩むことも厭わない決意。朝鮮と日本の暮らしの違いを突きつけられる。ただ、家族と一緒に暮らしたいだけ、その望みはあまりにも遠くて。いまを大切にしなければと、自国をもっと知らなければと。いまの自分に言い聞かせたくなる。最後の母の強さに心の打たれながら下巻にいきます。2017/11/22
み
19
北の国は、ずっと変わらないのかしら?葉山さんは、少し変わったような。下巻に進みます。2021/07/04
nyangle
7
本屋でなんとなく目にとまった本。北朝鮮の工作員を米国の情報機関が追う話。舞台は日本。この文庫の刊行は2017年ですが、本作が書かれたのは2001年あたりらしいです。いま読んでも古さが感じられないのが驚き。スパイ小説的なスリリングな展開に、「二つの家族」のいきさつが絡み合っていて、なかなかの読み応え。二つの家族の苦難を予感しつつ、下巻へ。さて、どうなることやら。wktk2018/01/07
RIN
6
なんてやるせない話だろうか。責めるべき人間はハッキリしているのに、その相手はあまりにも遠い。愛する家族を守る為、北朝鮮工作員として国に尽くすしか無いチョン。祖国に残した家族と利用するために得た日本の家族。この二つの家族の間で揺れるチョンは決して不義理では無い。寧ろその愛情深さ故に彼は苦しみ悩む。まだ物語の全貌は見えず、高度な偽造紙幣だけが暗躍する。葉山と坂下はそれぞれ別の角度から彼と真実を追うが、果たしてエディは何処まで掌握しているのか。一筋の希望を望みながら下巻へ進む。2021/07/08
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