内容説明
大学に入学した秋太郎が足を踏み入れたのは、異常に人間を嫌う来見行が専有する謎の哲学研究室「仮面応用研究会」だった。コウに興味を持った秋太郎は入部を願い出るも、断固拒否される。直後、サークル棟で墜落死体を発見するが--一瞬にして消失。この超常現象を推理するコウの裏で暗躍する彼の兄の真意は? ラスト10ページ、存在の証明が不可能な「あるもの」が出現する。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
佐島楓
56
おもしろかった! 心理学や哲学をちりばめた物語やトリック、主人公の自分を憎み続ける美貌の青年。シリーズ化される展開のようなので、今後も読んでいきたいし、軽やかな文体から著者の別の作品にも興味がわいた。2017/08/04
九月猫
46
猩猩緋色の逢魔が時「まあだだよ」「murderだよ」。現実と異界のあわいで、ぐるぐると回り回る終わらないかくれんぼ。反復、円環、永劫回帰。ステルス。境界。さまざまなメタファーや哲学と心理学用語、ミスディレクションに目をくらまされていた。なるほど、殺人事件ならぬ『殺・主観的人格・事件』か。死者も生者も、文字通り境界の人も、掴みどころのなさが気になっていた秋太郎も、再読すると……ああ、これは確かに怖いや。ワトソンは「要る」のか「居る」のか。次の謎を楽しみに待とう。おもしろかった。2017/09/14
九月猫
45
旧のオーラバシリーズとイズミシリーズが大好きだった若木未生さん。新版も追っかけたり積んだりしているけれど、読むのは……うわぁ何年振りだろ。久しぶりに読んだ若木作品、面倒くさかったり、ややこしかったり、残念だったりなキャラたちは健在(笑)ちょっと気の強いきれいな女の子もね♡電子書籍で読んだせいもあるけど、構造がややこしいのと、現実の事件なのか心霊ものなのか判別つかずで、こんがらかりつつ、まずは全体を把握するために通読。すぐさま再読に入ってるところ。2017/09/13
よっち
35
大学に入学した新入生・秋太郎が選んだサークルは、人嫌いの来見行が専有する謎の仮面応用研究会。入部を願い出るも断固拒否された秋太郎が、直後にサークル棟で墜落死体を発見する物語。お互いが深刻な事情を抱える秋太郎とコウの邂逅。やや過剰に心配症で正義感が強い秋太郎に寄り添う彼女・ハゴロモ。そして謎めいたコウの兄・ショウの存在。オカルトめいた事件に心理学や哲学を絡めたストーリー、登場人物たちのテンポのよいやりとりは久しぶりに著者らしさを楽しめました。謎を提示するショウが今後もポイントになりそうですね。続巻も期待。 2017/08/09
ゆう
29
学生時代にオーラバ読んでた以来の若木さん。懐かしいなと思い手に取る。ミステリーでありオカルトでありファンタジーでありなループもの。探偵が証明する内容が哲学だわー。秋太郎の時々…いや割と出てくる言葉に英単語が混じるのがどうしても気になって仕方がなかったけど、それ以外は読みやすい。これはシリーズものになるなっていう1冊。2017/08/20