内容説明
母子家庭の幼い姉妹が自宅で殺害される。死体発見時から母親が行方不明の為、母親犯人説が浮上。日本新報甲府支局の南は、本社への栄転を懸け、特ダネを狙って精力的に事件情報を収集。警察のネタ元から犯人の情報を掴み、紙面のトップを飾る記事を書いた。だが、それは大誤報となって……。巧妙な罠に翻弄されながらも、新聞記者としての矜持と野心の狭間で真実を追う男の闘い。長編ミステリー。
目次
第一部 飛ばし
第二部 調査委員会
第三部 交差する思惑
第四部 続報
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
扉のこちら側
70
2018年164冊め。タイトル通り、刑事事件を巡る新聞記者の話であり、直接的な警察小説とはまた違った趣。昨今の過熱する報道合戦の背景もあり、報道に際しての人権というものを考えさせられる。殺人事件の犯人に関しては拍子抜けと言ったら失礼だろうか。あくまで本筋は新聞に誤報を書かせた黒幕についてである。2018/05/28
ハナコ
40
書店で、なんとなく気になって、堂場さん初めまして。メディアが抱える問題・守るべき領域とは?主人公・南のやさぐれ感に最初はついていけるかなと思ったけれど、中盤から登場する南の恩師や、事件を利用しようとうごめいている影など、徐々に引きこまれた。理想かもしれないけど、新聞は情報操作されてほしくないし、中道であってほしい。2017/05/30
マムみかん(*ほぼ一言感想*)
32
《ナツイチ2020》「ミステリーよまにゃ」ラインナップの中から購入。 ミステリーかどうかは疑問でしたが、新聞社小説として読み応えありました。 昔人間なので、ネットよりは紙の新聞派。 強引な取材や誤報は論外ですが、権力と対抗する力を持ち続けてほしいです☆2020/08/03
かおりんご
29
小説。警察ものが苦手なのに、読んでしまいました。はじめのうちは、南記者の偉そうな感じが鼻について、なかなか読み進められませんでしたが、黒幕の存在がチラついてからは一気読み。どういう結末になるのか、ハラハラドキドキしながら読みました。マスコミ批判を主軸にし、かつ報道の自由や表現の自由を織り交ぜながら、ミステリーをしたてているのがすごい!伏線を綺麗に回収しているのもよかったです。2020/09/25
しーふぉ
25
マスコミの過剰な取材やネットの無秩序な書き込みに対しての警鐘と法律で規制することの是非などを、最後のサツ回りの記者や誤報の検証委員の目線で追う。堂場瞬一さんらしいエンターテイメントに仕上がっている。2020/09/19