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内容説明
名は襄、字は子成、通称久太郎。安永9年、儒者頼春水の長子として大坂に生まれる。後に、天賦の詩才と史書の叙述で天下に令名を馳せる頼山陽(1780‐1832)である。その一代の文章は、幕末期に尊王攘夷運動の原動力ともなった。作家中村真一郎は、この人物の内面を丹念に掬い上げながら、生涯の全貌と時代の知的風景を余すところなく描き出す。発表後、山陽のみならず、江戸漢詩文の再評価をもたらした傑作評伝。上巻では、精神の異変と、脱藩事件や遊蕩によって始まる山陽の生涯、一族のあり様、西遊中の交際などを扱う。芸術選奨文部大臣賞受賞。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
しずかな午後
12
本当に素晴らしい一冊。本書のテーマは、江戸後期の文学者・頼山陽の生涯を追うことにある。しかし、彼個人に注目するのではなく、彼と交流のあった学者・詩人・画家etcといった面々を一人ずつ丁寧に取り上げる。それぞれ個性を持った文人たちが、次々に舞台に登場し、当時の豊かな知的コミュニティが、星を繋げて星座を作るように美しく浮き上がる。そこには田能村竹田、広瀬淡窓、大塩平八郎といった面々も見える。小説家らしい鋭い人間観察のもとに、当時の文人たちが遺した漢文・漢詩から、彼らの生き生きとした姿を蘇らせる。2023/11/07
isao_key
10
読んでみたいと思っていたが、長らく文庫版が廃刊となっていた。今年装いを新たに上下巻に分冊されて発行されたので、早速購入する。『日本外史』という戦前の歴史書のベストセラーである著者頼山陽の評伝をフランス文学者中村真一郎が書いているのが、意外で面白い。上巻では『外史』についてはほとんど触れられておらず、題名の「その時代」に焦点を当て、事件、事柄、交遊録、詩に多くのページが割かれている。かなり放蕩で遊び人であったことが伺える。特に交流の深い人物に南画家の田能村竹田や大塩平八郎を挙げ、意気投合していたのが分かる。2017/07/17
さえもん
4
精神を病んだ著者にしか持ち得ない視点であるように思う。 この時代は、現代とは違って、一度別れると再会するのはいつになるか分からないから、一度会ったときの人と人との結びつきが想像もできないほど濃厚なものだったんだろうなあと思う。紹介される漢詩の端々からそれを感じる。 しかし、こんなに天才天才と持て囃された頼山陽がほぼ無名の人物に成り果てた過程が気になる。2023/09/08
iwasabi47
3
大室幹雄『月瀬幻影-近代日本風景批評史』のあとがきにこの中村本を楽しんだとあって、ずっと気になっていたを再刊で読んでみた。山陽の人生を山陽を取り巻く人々の関係性『無数の可能性の中途半端な実現の束(p.11)』で描いているところが圧巻である。私には沢山出てくる人名やまったく馴染みのない漢文を理解できずに読み進めているが面白い。大室本のアイデアの源泉がここにあったのは理解できる。前田勉『江戸の読書会』も再読せねば。2017/03/28
tkm66
1
下巻まで読んだら書きます!2017/06/16
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