内容説明
姥捨山のその奥に老人達の桃源郷があった。
この時代小説がすごい2016年版(宝島社)にランクイン!細谷正充・著『歴史・時代小説の快楽 読まなきゃ死ねない全100作ガイド』(河出書房新社)に掲載。各方面で話題の時代小説が、いよいよ待望の文庫化!
時は幕末、陸奥国八戸藩と南部藩に挟まれた小さな国、外館藩西根通太平村。大平村には、60歳になると村での役割を全て解かれ、御山参りをする習わしがあった。それは、食い扶持を減らすための姥捨ての旅とも囁かれていた。しかし、その実態は・・・・・・?
山に捨てられた老人達が、理想の村を作って生活を営む、そんな国を暴こうとする代官とそれを守ろうとする農民たちの攻防戦。意外な結末が、愉快痛快!現代の高齢化社会の問題を解決するヒントが盛りだくさん。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
chiru
123
最高に痛快な、幕末老人コンゲーム!! 飢饉でも年貢をきちんと納める大平村の謎。それを探りにくる役人。村の秘密を守るため、六十歳の善兵衛を中心とした、老人主催の痛快すぎる攻防戦がスタートした! 老人からしたら、世間知らずの子供のような役人との知恵比べは、絶妙なゆるさが笑いを誘う♪ 生き生きと目を輝かして敵との攻防を繰り広げる老人たちの可愛さに癒されてしまう! 桃源郷の住人たちと過ごすうち、微かな変化を見せる平太郎。そして、下巻で激化しそうなバトルの行方はどうなる?! ★52020/01/21
つねじろう
66
その昔陸奥国大平村では皆60歳になると御山に向かう。でんでら野はその入口。そうこの話は姨捨の話し。姥捨、棄老は何度も飢饉に襲われた東北地方の人減らしの風習。遠野物語にも出て来た気がする。そのどちらかと言えば暗い痛ましい話をこの作者は逆手に取って東北人のしぶとくたくましい不思議なユートピア物語に変えてしまう。踊りながらでんでら野に向かう主人公善兵衛の姿が謎の明るさがこの話を象徴する。狼使いの少女やら一休さん並みの寺の小坊主やら役者も揃って農民達と武士との知恵比べが始まる。あっという間に下巻へ。2017/07/11
ざるこ
63
時は幕末、陸奥国の大平村。食い扶持を減らす間引きが行われる時代。60才を迎えた善兵衛は錫杖を手に山へ向かう。姨捨か…。と、思いきや善兵衛うきうき♪小躍りするハイテンションぶり。実は山奥には爺婆だけの秘密の理想郷が!しかし代官所から隠田を疑われ…。でんでら国を守ることができるのか?もう、とんでもなくおもしろい!代官VS村人、爺婆。飄々と嘘をつく和尚、とんちの冴える小坊主などキャラも最高。知恵比べを楽しみつつも、認知症や介護、虐げられる百姓たちの想いなど人間模様もあり。名言多数。まだ秘密もありそう!下巻下巻!2019/09/23
『よ♪』
58
とっても面白いですっ!レビューは下巻で♪2019/08/18
優希
51
面白かったです。高齢になると捨てられることから重い話かと思いましたが、大平村は老人たちのユートピアと言ってもいいでしょう。下巻も読みます。2021/03/12