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内容説明
ひとりでは何もできないロボットとともに、コミュニケーションについて考えてみた――。人とロボットの持ちつ持たれつの関係とは? 自分ではゴミを拾えない〈ゴミ箱ロボット〉。人の目を気にしながらたどたどしく話す〈トーキング・アリー〉、一緒に手をつないで歩くだけの〈マコのて〉……。 〈弱いロボット〉の研究で知られる著者が、自己、他者、関係について、行きつ戻りつしながら思索した軌跡。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
mocha
102
足元にゴミがある。ゴミ箱ロボットがヨタヨタとやってきて「困ったなあ」と言うように首(?)をかしげたら、大抵の人は拾ってゴミ箱に入れてあげるだろう。ロボットはひょいと会釈してヨタヨタと去っていく。ゴミも拾えない弱っちいロボットと思わせて、実は「人を使う」というすごワザを備えているのだ。この本にはあえて他者の手を借りるロボットが沢山出てくる。しっかりしてないからこそ人間味があって可愛い。高性能ロボットは機械であってパートナーにはなりにくい。女性が振られる時の常套句「君は独りでも生きられるから」と同じことね。2019/01/21
どんぐり
68
コミュニケーションの研究に「〈ロボット〉が使えるのではないか」から始まったロボット開発。「自分の力だけでなんとかしたい」というこだわりを捨てて、〈弱さ〉を開示することで他者を上手に巻き込んでいく。それが不完全な部分を人が補う設計のロボット「ニコボ」の製品化につながっていった。〈不完結さ〉や〈弱さ〉を周りとの調整のなかで補っていくインタラクションが優しさを育み、寛容な社会の実現につながる。もっとも〈弱い存在〉のはずの赤ん坊が、いちばんに〈強い存在〉になるたとえ話が面白い。2023/09/15
たち
34
こちらも本棚、発掘本です。この世の中が平和で豊かになるためには、能弁家も必要だけど、言いたいことの半分も言えないような「モジモジ君」や、最新鋭の便利なロボットも必要だけど、ゴミを発見しても人に拾ってもらうまで、ゴミのそばで佇んでいるようなゴミ箱ロボットが、不可欠なように思えます。便利なだけじゃダメなんだな~。2018/03/31
さきん
31
学習が遅かったり、ぎこちない動作をするロボット。そこを弱さとするも、それを肯定するどころか、あえてその部分を深堀りしていって、人間らしい振る舞い、心のあるような振る舞いを追求していく。介護用ロボットなど人と接する機会が多いロボットほど、こういう人間らしさを内包した未熟さを機能として持たせるべきと思えた。またこのロボットの研究から逆に人間の他者とのかかわりについての考察も深まる。2021/10/22
禿童子
26
ロボットの研究によって人間の非言語的コミュニケーションの理解が進む。飄々とした語り口ながら、語られている内容は深い。人とAIやロボットが互いにコミュニケーションのラリーを続けるうちに、相手が言ったのか自分が言ったのか区別できない共同主観的な状況に至るのは面白い。「AIまたはロボットが自我を持ちうるか?」という問題意識とは真逆の、「人と非生物が自他を区別できない状況が存在する」ことに気づかされた。引き算思考で、人の助けを借りることが上手な<弱いロボット>の研究はどこまで進むのだろう。2018/12/24
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