内容説明
ミステリー文学資料館は、日本の探偵・推理小説の書籍や雑誌を収集保存し、研究者や一般読者の利用に供するために1999年4月に開館しました。本書は“遺産”ともいえるその膨大なコレクションより、戦前から人気作家として活躍した大下宇陀児と、トリックに執着し続けた楠田匡介のレアな長編2作を選りすぐり、さらには2人の共作も加えた傑作アンソロジー!!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
HANA
55
大下宇陀児と楠田匡介の作品中、忘れられた二本の長編を収録している。収録作は「自殺を売った男」「模型人形殺人事件」及び合作「執念」と随筆。読んでいて思ったのは、やはり忘れられるのには忘れられるだけの理由があるという事。両者とも戦後の世相を描いた部分は興味深いものの、ミステリとしてはちょっと食い足りないという印象を受けるのである。前者は手掛かりを小刻みに出してくるのが上手く容易に推理できるのであるが、後者はちょっとご都合主義を感じる部分もあり物足りない感じを受ける。やはり遺産は遺産として楽しむべきかなあ。2017/08/09
geshi
23
『自殺を売った男』戦後探偵小説からの脱却を図っていると思われる無軌道な若者を主人公にしたサスペンス。冒頭の自殺の引きから「自殺を売る」まで転がる展開が面白いし、手掛かりを小出しにしながらストーリーを運ぶ腕も確か。『模型人形殺人事件』殺人場面にもっと分量割くか現場の図を置くべきだったな。マネキンをめぐる怪しげな人物の動きやショーウィンドウからの盗難に話が逸れ、解決も犯人に近い側からのものなのでスッキリしない。『執念』共著だからこれ選んだんだろうけど、どうしたいのか分からん話だな。2019/07/19
Kotaro Nagai
2
本日読了。大下宇陀児の「自殺を売った男」は1958年週刊大衆に連載された。どこか三島由紀夫の「命売ります」を連想させるような作品。主人公の内縁の妻のユキ子さんがなかなかチャーミングでよい。楠田匡介の「模型人形殺人事件は1949年に書き下ろされた密室ミステリー。作品としては初期に当たるためかやや運びが生硬の印象。以前読んだ「いつ殺される」の方が面白かった。2019/08/14
kanamori
2
☆☆☆ 「自殺を売った男」(大下)「模型人形殺人事件」(楠田)の長編2本に、「執念」(共作・中編)という変形アンソロジー。2017/06/09
渋谷英男
0
「自殺を売った男」ピカレスクロマン風「模型人形殺人事件」いまいち「執念」一番大下宇陀児ぽい。☆2.52017/06/13