内容説明
妻とふたりの子どもを残して、アフガニスタン移民の男性が失踪した。警察は強制送還を恐れて自ら姿を消したと結論づけたが、残された妻は納得しなかった。夫が自分と子どもたちを残して逃げるはずがない。『徹底検証』という番組の記者が妻の訴えに興味を惹かれ、事件の調査を始める。一方イェムトランド県での殺害事件を調べているトルケルたちは、六人が殺されたのと同じころに、近くで自動車の炎上事故があったことを突き止める。その車に乗っていたのは、偽の身分証明書を持った身元不明の女だった。人気脚本家コンビが放つ人気シリーズ。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
KAZOO
134
やっと人の名前が下巻に入ってわかってきた感じです。それにしても北欧のこの分野の小説(例えばミレニアムなども)というのはどうも残虐的な感じのものが多いような気がします。主人公もあまり好かれるタイプではないと思われるのですが女性にはいいのでしょうかねえ。最後の終わり方もあまり好みではない感じです。また「特捜部Q」の方が読みやすい気がします。2018/01/28
ケイ
126
シリーズ3作目。1作目でなかなかいいかも。で、2作目にいったら、テレビドラマ的だと少し残念に。そして、3作目で見事立て直し。本来の事件は片付いたが、黒幕はどうするの…。そして、乱れた男女関係からの諸々が火種となっていたが、とうとう発火してきたようだ。4作目が手元にあってよかった。2018/04/23
のぶ
85
下巻に入り、上巻で発見された6体の死体の捜査が進められるが、状況がなかなか進まず謎は複雑化してくる。重ねて捜査班の刑事たちの個人的状況が描かれる。本作は登場人物が多く、北欧特有の名前が馴染み難いので、読んでいて普段以上に時間を要した。セバスチャンは本業より女性を口説いているばかりという印象で、セバスチャンに感情移入して読み進むのも難しい。事件の解決も思わぬ方向に進んで、自分としてはどれだけ真相を理解できているか自信がない。そんな訳で個人的にはやや読み難い作品だった。2017/08/19
星落秋風五丈原
51
事件はすっきりしない終わり方だったが、ラストの展開に叫んだ読者が多かったらしい。いや私も驚いた。うわー、何でよりによってこの時にその人がその場にいる!?と。 そしてこの事件が明らかになるといろいろな事がわかってしまってセバスチャンが窮地に立たされる。まあ彼はもともと裏で画策したのだから報いは受けていいのだが、問題は、実際の痛みを引き受けるのは彼ではないことだ。これが明るみに出たらいくらセバスチャンに好意的だったあの人も態度を変えるのではなかろうか。テレビシリーズにありがちなクリフハンガー的エンディング。 2017/07/29
hanchyan@ふむ……いちりある
40
精鋭の捜査班にあってまさに獅子身中の虫セバスチャン。その、「探偵という装置」としての歪さは麻耶雄嵩的。シリアスな犯罪小説でありつつ、レギュラー捜査陣の、往年のトレンディドラマ的な(笑)人間関係の錯綜や心情の機微がなんとも面白い。白骨そっちのけの深刻さ(笑)。そして、驚愕のエンディング。とてもとても面白かった。2018/08/05