内容説明
【電子書籍化にあたり、地図・図版をカラー化しました】
大正2年(1913年)、東京で最初の大規模な郊外分譲地が売りに出されました。その後、第一次世界大戦を契機に日本の経済は活性化し、産業の近代化からサラリーマン階層が増加、郊外の宅地開発に拍車がかかります。
「自然を多分にとり入れた都会」「大気汚染から空気清澄なる郊外へ」をキャッチフレーズに田園都市化をはかる、のちの東京急行電鉄、1922年に小田原への高速電気鉄道の免許を取得し、林間都市の建設を進める小田急電鉄。
本書では、鉄道や軌道の許認可に関する戦前の公文書である鉄道省(鉄道院)文書とさまざまな時代の地図をもとに、この私鉄二社の歩みと近現代の日本の足跡を眺めていきます。関東大震災後の郊外志向、農村から工業都市への急激な発展、都心部への乗り入れ、娯楽の変遷、乗客獲得のための大学や工場、軍関連施設の誘致など。
鉄道省文書とは、いわば鉄道をめぐる人々の声や思い、野心もあれば生活者の悲鳴や憤りであり、地図はその人々の声や思いを形にしたもの、しようとしたもの、潰えたもの、廃れたものの集積であります。
私たちの歴史を沿線からいま一度見つめ直してみませんか。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Tadashi_N
38
鉄道を申請する人の熱意と打算が良く分かる。古い地形との比較ができるのもいい。2017/10/21
のぶさん
2
詳細な地図で東急(目蒲線、池上線、東横線)や小田急の発展の様子を知ることができて楽しい。鉄道の発展は郊外の農村が町になっていく歴史でもある。さすが今尾さんの本である。地図も見やすくて良い。2017/02/19
かめかめ
2
私鉄の歴史を、鉄道省(今の国土交通省)文書と今昔の地図で詳細に解説しています。鉄道好きにはたまらない内容と、保存資料的な価値があります。第1巻は東急と小田急です。自宅の近くを走る小田急の歴史をおさらいしました。2015/09/25
siomin
2
明治期以降の地図と鉄道省文書をもとに、私鉄の歴史、その土地土地の発展を記した一冊。今回は東急ということで、私の知っている土地がたくさん出てきます。いまは人口密集地ですが、鉄道が引かれる前はほんとに人が住んでいなかったんですね。宅地開発をはじめ、現在の慶應大学、東工大、小山台高校を誘致したとか。たしかに、どれも駅前にあります。2015/02/14
Hisashi Tokunaga
2
東急史を簡潔に手早くしかもスリリングに味わうのに適した好書。小田急部分は次回に読みます。2014/12/04