岩波新書<br> グローバル・ジャーナリズム - 国際スクープの舞台裏

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岩波新書
グローバル・ジャーナリズム - 国際スクープの舞台裏

  • 著者名:澤康臣
  • 価格 ¥946(本体¥860)
  • 岩波書店(2017/06発売)
  • 3月の締めくくり!Kinoppy 電子書籍・電子洋書 全点ポイント30倍キャンペーン(~3/31)
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  • ISBN:9784004316534

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内容説明

世界一斉に報じられた「パナマ文書」の裏には各国記者たちの「史上最大の作戦」があった.イタリアマフィアの極秘アフリカ進出は,前代未聞の欧州・アフリカ記者連合が暴いた.ビジネスも犯罪も国境を越える時代,記者たちは一匹狼から国際協力に舵を切り,デジタル技術で武装する.新しい国際調査報道の可能性を報告する.

目次

目  次
   はじめに

 第1章 世界の極秘情報を暴いた「パナマ文書」
  1 匿名法人──その裏に政治家と犯罪組織が隠れていた
   明かされない「真の所有者」/プーチンの盟友/犯罪者たち
  2 調査報道記者たちの「史上最大の作戦」
   黒衣の告発者/データ共有の危険な賭け/誰にも言えない/世捨て人/ダミー・ジャーナリスト
  3 「今日から暗号化キーを持て」
   秘密のウェブサイト/メール厳禁/城壁の中のおしゃべり
  4 辞めた首相、怒った大統領、立ち上がった市民
   ニュース速報が止まらない/首相は顔色を変えた/プーチンの敵意、習近平の黙殺
 第2章 グローバル化するニュースを追う
  1 アゼルバイジャンの独裁者が奪った富
   急成長ビジネスの甘い蜜/記者に渡った一枚のメモ/謎の企業を操る者/スウェーデン史上最悪の汚職/スウェーデン、ボスニア、そしてアゼルバイジャン/未完プロジェクトを継いだ者/取材困難地域の記者連合
  2 マフィアの大陸侵略を暴いた「イタリア・アフリカ各国記者連合」
   血塗られたダイヤモンド/イタリア・アフリカ各国記者連合/マフィアの国際化対記者の国際連帯/木を見て森も見る/アフリカを駆け回る/調査報道と警察リーク/検事と記者と裁判記録文書/マフィアから記事を守る/金がないなら手をつなげ/あの手この手で取材支援/各地に勃興する国際調査報道組織
  3 殺される記者 訴追されない犯人
   ケンジ・ゴトウの勇気をたたえよ/マフィアが狙う記者の命/処罰されない犯罪
 第3章 新参npoの乱入
  1 マックレイカーズ(肥やしをあさる野郎ども)の誇りと退潮
   監視する記者/公文書を掘り起こす/アポなし取材/スクープ潰し/権力監視の代償
  2 スター記者集め、寄付は年間一〇億円
   メディアの危機/プロたちのnpo/巨額寄付も高給も公表/新聞・テレビと協業/ニューズルームのない報道メディア
  3 欧州とアジアの風雲児
   八日間で一万五〇〇〇人から寄付一億円/政界大物を次々に倒す/韓国を揺るがす醜聞ビデオ/抑圧をかいくぐれ/中国共産党の壁はデジタルデータを止められない
 第4章 明かされる「秘伝」
  1 記者による記者のためのスクープ教室
   一八〇〇人が学ぶ二〇〇の講座/情報公開制度の裏技
  2 取材に応じてもらう秘策
   テレビ記者たちの意外な切り札/デジタル時代こそ足で稼ぐ/記事は殺せない
  3 抑圧政府から身をかわす技法
   世界に協力ネットワーク/メールは葉書、誰でも読める/デジタル技術で情報源保護/巨大データを扱う
 第5章 そして日本は──
  1 調査報道を阻む「日本の壁」
   裁判は公開のもの/裁判検証お断り/冤罪を訴える活動は処罰/ 「個人情報マインド」と「匿名社会」
  2 匿名社会が記者を阻む
   日本独自の「匿名志向」/知られざる死刑囚/市民が主人公になるニュース
  3 ニュースと市民と社会参加
   参加しない読者/娯楽としての偽ニュース/ネットメディアが暴いたネットデマ
  4 日本から未来へ、ジャーナリストの課題
   ネタの取り方教えます/未来に向けた課題
   おわりに
   参考文献

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

おさむ

41
ジャーナリズムの最大の武器となる調査報道の現状を共同通信記者がまとめています。昨年、世間を賑わせたパナマ文書報道の内幕も。犯罪や法律、ビジネスのグローバル化が進み、ネットの監視もはびこる中、デジタル技術と語学力はこれからの記者には必須能力ですね。驚いたのは、裁判資料などの情報公開度が日本は海外に比べて低いこと。プライバシーの保護ばかり優先される「匿名社会」になることが果たして私たちにとって良いことなのか、考えさせられました。2017/03/26

Isamash

27
澤康臣(元共同通信記者、オックスフォード大ロイタージャーナリズム研究所客員研究員)2017年発行著書。イタリアマフィアのアフリカ進出等を題材に記者の国際的協力が描かれている。抑圧政府に対する対抗法の国際的な協力もなされているとか。日本のメディアの沈滞的な報道姿勢に悲観していたが、国際的協力というものがあればと期待を感じた。ただ日本の現状は、新聞記者の特権意識が強くて、ジャーナリスト間の媒体超えた協力さえ出来ていない様に見えている。やはり記者クラブが癌ということか。外国記者クラブが今後の協力体制の核なのか?2023/11/05

BLACK無糖好き

13
調査報道に携わる各国記者の協力・連携の取り組みと、「パナマ文書」や「イタリア・アフリカ各国記者連合」など成果の一端が紹介されている。興味を引いたのは、2012年韓国大統領選挙で朴槿恵が当選した裏に、情報機関の国家情報院がインターネットで朴候補の支援工作を行っていた事を暴いたニュース打破という調査報道メディアの存在。当時の国家情報院トップも有罪判決を受けたようだが、先日の朴槿恵罷免騒動で、この件に言及した日本人ジャーナリストはいたのだろうか? ◆最終章 日本の情報公開制度については別テーマで一冊になる。2017/06/05

羊山羊

7
日本全体で報道というものに力がなくなっている今だから、色んな人に見てもらうべき本と思う。日本では勇み足したジャーナリストへの自己責任論やメディアへのシニカルな目線が大きいが、この本ではパナマ文書のスクープを例に率先して行動する報道姿勢の大切さを説いている。「報道に言葉本来の中立はありえない」という言葉に膝を打つ。報道とは、一つの立場に主観的に寄り添うことだからだ。ポリコレにより、色々な立場の人、意見が圧殺される時代だからこその本。2019/04/21

nnnともろー

7
ここまで報道記者の国際的な連帯が進んでいるとは知らなかった。欧米と日本の価値観の違いも浮き彫り。命をかけた姿勢に感服。2017/09/29

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