イースト新書<br> 反知性主義と新宗教

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イースト新書
反知性主義と新宗教

  • ISBN:9784781650814

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内容説明

「日本的反知性主義の系譜」を説き明かす

アメリカのキリスト教が生み出した「反知性主義」は、ついには
トランプ大統領を誕生させ、その潮流の勢いを再確認させた。
この言葉はポピュリズムに近い意味合いで使われることもあるが、
本来は「知性」や「知的な権威」に異を唱え、誰しもが持っている「知能」を
信頼する考え方をさす。
キリスト教が多くに広まらなかった日本でそれらを体現したのは、
創価学会などの新宗教であり、それはやがて政治や経営の中にも浸透していった。
いま、日本社会に顕著な思想の実体を宗教学者・島田裕巳が徹底解剖する。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

そうたそ

23
★★☆☆☆ 「反知性主義」という観点から宗教を語る一冊。最後までのりきれなかったのは、本書でのメイントピックである「反知性主義」というものに個人的にいまいち興味を感じきれないままであったからだろう。宗教好き(信仰心厚い人を示しているわけではない)におすすめな内容である一方、そうでない人が手にとっても恐らくつまらない一冊であろう。「反知性主義」についてトランプを持ち出して考察するところが一番おもしろかったかな。2017/07/16

rico

20
素直に教祖の教えに従って実践せよ、そうすれば救われる。少々乱暴な言い方だけど新宗教ってこんな感じか。わかりやすいからこそ、社会的に恵まれない人々に支持され、広がり、多くの人の心の支えになってきたのだろう。その意義は認める。ただこれが特定の価値観や特定の思想に結び付くと、疑い異を唱えることが排除されないか。あれこれ考えず従えということにならないか。「知性」は疑い考えることから始まる。めんどくさいし、効率は悪い。でも、考えることを許さないような社会にはなってほしくない。2018/01/22

ソフィア

12
知性と知能は違うと筆者は言う。松下幸之助や田中角栄が「知能はあるが知性はない」という説明は、意識したことがなかったが、大いに納得した。例え反知性主義的であっても、知能があれば金銭的に恵まれずとも立身出世が可能であることは、頭ごなしに反知性主義を否定すべきでない理由でもある。他方、科学と相容れない宗教やイデオロギーにおいて、深く信じ込むためには知性を否定せざるを得ないのだろうが、注視すべきは反知性主義を悪用する知識人が存在するところだろう。最低限の知性は不可欠であるというのが、読後の私の所感である。2024/03/22

ホシ

10
相変わらず島田氏の冷めた文章。読後の今は、他人から欠点を指摘され、でも、それが的を射ている時の気分。本書は伝統宗教を含む全ての教団、そして、松◯政◯塾やト◯タからは反感を買うだろう。でも、島田氏の主張も一理ある。「知性ではなく、知能や霊性の重視」これが島田氏が主張する「反知性主義」であり、現在、世間に膾炙している反知性主義の理解は、社会にある対立を際立たせるだけと警鐘を鳴らす。まぁ、ごもっともなんだけど…。特定の信仰を持たず、宗教に関心がある方にオススメです。2017/04/04

お茶

10
近代日本の新宗教を、「反知性主義」本来の定義を基準として解釈した本。なので取りあげた諸宗派がすべて何らかの程度「反知性主義」の性質を持つことになる。確かに権威としての伝統宗教思想に対抗する新宗教が反知性主義を帯びるのは、成り立ちから当然といえる。知性的な権威へのカウンターカルチャーという性質からは、当然反知性主義はポピュリズムと親和性を持つわけで、トランプが福音派に支持されたのもうなずける。日本会議と安倍の関係もそうか。分析対象を広げ過ぎて散漫になっているのが残念。2017/03/15

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