内容説明
2017年7月1日、カナダは建国150周年を迎える。テロや政治状況などで暗雲たれこめるヨーロッパやアメリカに比べ、誰もが笑顔になれる、癒される国として注目を集めている。昨年、アメリカでトランプ政権が誕生することが明らかになったとき、移民を希望するアメリカ人たちがカナダの移民登録サイトに殺到したことも話題になった。
建国以来、世界中からの移民を受け入れ、多民族主義を宣言し、異なるルーツの人びとが幸福に共存する道を選んできたカナダ。その広大な国土を、ジャーナリスト上原善広氏が一年目はプリンス・エドワード島からウィニペグまで、二年目は東端の地ニューファンドランドを起点に、鉄道でトロントからバンクーバー、さらに北上して北極圏のタクトヤクタックまで踏破した。カナダ全土に張り巡らされた「トランス・カナダ・トレイル」(TCT)という古い街道や廃線になった線路跡などのトレイルを自転車でめぐったり、建国の礎となった大陸横断鉄道に乗って西海岸に到達し、先住民と共にユーコンで狩りをしたり、歴史をたどりつつ「今」のカナダを体感する気鋭のルポルタージュ。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ぶんこ
40
この本は見た目の印象と良い意味で違って、とても面白く楽しめました。憧れるだけで一度も行ったことのないカナダ。先住民やヨーロッパからの開拓者、ロシアや中国からの移民、先住民族、第二次大戦時の日系人強制収容所の話や、収容所のメモリアルセンターや収容されていた小さな町も訪れていて、歴史的な事が教科書ではなく物語のように分かり易く書かれています。半年に及ぶ自転車とレンタカー大陸横断鉄道を使ってのカナダ横断。とても充実した内容でした。トルドー首相の政策に感嘆。カナダに移住したくなります。2017/09/24
スプリント
6
カナダを旅行した気分に浸れます。土地それぞれの特徴と文化、歴史がほどよく取り上げられていて読みやすいし飽きがきませんでした。2017/06/04
ちゃいみー
4
「赤毛のアン」の舞台プリンス・エドワード島への憧れがあったのに、カナダのこと何も知らないな…と思い手に取った。長いスパンの歴史的な出来事を時系列で読むよりも、旅程を辿りながらエピソードが語られる形で、私には読みやすかった。カナダの歴史や文化、暮らし、社会についてのエピソードが豊富。しかしすごい距離を可能な限り自転車で、陸路で旅していて、資料なども持ちながらさぞ大変だったと思う。2024/10/29
めぐみこ
3
カナダを自転車とレンタカーで横断・縦断したルポ。建国150年になるカナダの歴史や食べ物、見所が紹介されている。先住民がいて、あちこちからの移民もいて、英語圏があって仏語圏もある。まさに多様性の国だ。2018/05/31
ちゅうこ
3
カナダってホント知らなかったなあと感じた本。なぜ、アメリカと比べて銃犯罪が少ないかという素朴な疑問からはじまり、赤毛のアンの歴史的な意味を現地の人は知らないけど、直観で訪ねる著者の勘の良さとか、カナダにおけるフランス系のアイデンティティの問題とか、自転車で横断し、体全体で体験する彼の潔さよ。いろんなヒントが詰まった本2018/04/17