内容説明
顔の傷が原因で周囲と馴染めず、高校を中退した直哉は、不思議な青年と出会う。「君の顔にはオリオンがいるんですね」。傷をそんな言葉で褒めた青年・蒼史(そうし)は、小学生の妹・桜月(さつき)と天文館を営んでいた。成り行きで天文館に通ううちに、親とのわだかまりや将来の不安がほどけていく。が、蒼史の友人だという「コガネ」の存在が、蒼史の過去に深く関わっていると知って…。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
真理そら
49
顔にやけどの痕があり、目つきが鋭くガタイが良く人付き合いが悪くてもいわれのない中傷には傷付くし、母の気持ちも分かる。施設で育った孤児だからといって寂しくない訳じゃない。でも星空の下で星の話をする相手がいれば自分に素直になれる。コガネという謎の存在が魅力的。2023/08/15
よっち
38
幼少時に負った顔の傷が原因で周囲と馴染めず、高校を中退した直哉。そんな彼が星好きな不思議な青年・蒼史と出会い、その小学生の妹・桜月と営む天文館に通うようになる物語。根も葉もない噂に振り回され、親ともわだかまりを抱えていた直哉。複雑な事情があってお互いに少し遠慮のある蒼史と桜月。少しずつ足りない部分があった彼らが補い合うような関係を築いてゆくことで少しずつ周囲との交流も増えてゆき、誤解から危機的状況に陥りかけたりもしましたが、それを乗り越え未来へ向けて一歩踏み出すことを予感させる結末はとても心に響きました。2017/03/28
沙耶
31
初読み作家さんでした。 顔にある傷のせいで周囲に馴染めず高校を中退した直哉が星のことにすごく詳しい蒼史と小学生なのにすごく大人びてる桜月に出会ったことにより少しずつ居場所を見つけ、自信をつけ成長をしていく物語。中には少し重い話もあるけど星を交えながら進んで行くので読みやすかった。読み終わった後に優しい気持ちになれる物語です。2017/05/20
ぐっち
29
顔に傷のある高校中退男子・直哉は、初対面で「きみの顔にはオリオンがいるんですね」と言っちゃう蒼史に誘われてプラネタリウムへ足を踏み入れる。蒼史と直哉と桜月の3人で不器用ながら距離を縮めていくようすがもどかしいけど羨ましい。若干デキスギな気もするけど、星空を思い浮かべながら、すがすがしい気持ちになれます。2017/04/22
はな
27
初めましての作家さん。とても温かい気持ちになれました。火傷の跡で嫌な思いをしてきた主人公。オリオンがいるんですねと声をかけられ、星を知って好きな物に出会えることでがらりと変わるなと感じました。好きなこと、居場所があることが大切だと感じました。2020/04/12