中公文庫<br> 恋衣 とはずがたり

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中公文庫
恋衣 とはずがたり

  • 著者名:奥山景布子【著】
  • 価格 ¥748(本体¥680)
  • 中央公論新社(2017/04発売)
  • ポイント 6pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784122063815

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内容説明

鎌倉末期、後深草院の宮廷を舞台に、愛欲と乱倫、嫉妬の渦に翻弄される女官・二条。幼くして生き別れとなった娘・露子が、二条の遺した日記を繙きながら、晩年は尼となり自らの脚で諸国を遍歴するまで、美しく、気高く、そして奔放に生きた実母の人生を辿る。史上最も赤裸々な女流古典「とはずがたり」が700年の時を超え、大胆によみがえる。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

優希

37
『とはずがたり』がベースにあるのでしょうね。作者である母の紡いだ物語を生き別れた娘が読むことで、その人生を見つめていく。興味深い物語でした。機会があれば『とはずがたり』も読んでみたいです。2022/08/06

ゆずきゃらめる*平安時代とお花♪

32
〈日本の古典を読む:第八回〉のイベントより♪「とはずがたり」は、初めて読みました。鎌倉時代の宮廷にいた女房「二条」の一生。平安時代と違い妃に暗いがあるのではなく妾・寵姫は殿方によってえらばれる宮廷文化。彼女は生まれてきた時から決まっていた。それは必然かもしれないが彼女なりに【恋】をした軌跡だから誰も責められない。ー人を恨み羨み、己を責め苛んで生きるのは、虚しきこと。-「二条」が哀れとは私は思いません。五冊読んだ「露子」や他者に伝えたいことがあったのでしょう。2017/08/19

きいち

25
平和に育てられ家庭を持ち子を育ててきた二条の娘が、持ち込まれた二条の手記&家集を読み解いていく、という形で「とはずがたり」の世界を再構築していく。テキストに忠実な読み取り方も設定考証もしっかりしてるなあ、と思ったら、この著者、大学講師の経験まであるガチの国文学徒だ、どおりで。◇後深草に対する「二条ちゃん、それでいいの?」という現代の「とはずがたり」読者の思いは娘も共有。しかしそれにとどまらず、彼女に仮託された読みは、遊行者への憧れをテコにもう一段先へと進む。二条の生きざまの肯定に至る過程が納得度高い。2020/01/12

みっちゃんondrums

25
不勉強にして、途中でようやく実在する古典「とはずがたり」が組み込んであることに気づいた次第。作者・二条の娘・露子の視点で読み解いている。ほぼ同時期に、朝廷内の三人の男性から愛され、それ以外にも求められて関係を持ち……と、モテ自慢かい!と眉をひそめた。が、そこはさすが現代作家・奥山さん、露子にも実母・二条への嫉妬めいた気持ちが芽生えたことを描き加え、二条を辛辣に批評する筆に、私の気持ちも中和されたのだ。男性の後ろ盾がなくなったときに尼となり、遊行に出る二条、やはり他の女とは一線を画す女だったのだろう。2018/11/07

べる

17
露子は生みの母、二条の書き残した日記を読んで母の人生を辿る。嫉妬を露にする女に誰も味方してくれぬ世において、露子は夫が忍び通う所で自分には授からない女子の誕生への嫉妬や、女が亡くなる不幸に笑う自分の心に悲しみ苦しむ。二条は後深草院や朝廷に仕える僧侶など宮廷で高位の人々から望まれ、禁じられた恋の中で子と引き離される辛さなどを味わった果てに諸国遊行の尼となった。出家したら己の心から逃れられるわけでもない。人を恋うる心は思いも寄らない。人を恨み羨み、己を責め苛んで生きるのは虚しい。母の人生を受けて露子は生きる。2022/05/25

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