角川ホラー文庫 幽落町おばけ駄菓子屋 春風吹く水無月堂

著者名：蒼月海里【著者】

KADOKAWA（2017/04発売）

• ISBN：9784041054840

内容説明

観覧車があった古い写真。迷子になった少年が持っていた、一葉の写真には亡き曽祖父の思いが遺されていた（おもかげをさがして）。鷽替え神事で賑わう亀戸界隈に現れたのは、もう廃止された都電のアヤカシだった（うそにしたいこと）。いつものようにアヤカシたちの憂いを受けてはらす水脈さん。しかし、印旛沼から龍王の使者が現れ、故郷で犯した水脈の罪が許され連れて戻るよう言われて来たという。それを聞いて慌てる彼方たち。水脈さんが幽落町からいなくなってしまう？　大人気シリーズ、ついに最終巻！

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

[夢追人００９]

ほのぼのホラー幽落町おばけ駄菓子屋シリーズ９冊目正編の完結編ですね。幽落町のレギュラーのみなさんはいい人ばかり、彼方君と水脈さんにジローと真夜は優しさ一杯で甘味好きの忍もおっかない元医者の都築も終いには人間が丸くなって善人になったしね。やっぱり著者・海里さんの人柄が自然に滲み出るのでしょうねえ。もう少し恐怖と刺激が欲しかったとは思いますが何はともあれ目出度く完結しましたね。でもファンにはもう一冊番外編があって楽しめますよ。江戸時代がそのまま残った様な幽落町には決して進歩せずに永遠に姿を留めて欲しいですね。

2020/01/23

[だりあん]

シリーズ9冊め、最終巻。都電の付喪神、大正美少女ハナさん登場。竜の王様から水脈さんにお迎えが来たり。彼方くん、すっかり頼もしくなって…。新しい町誕生、新シリーズにつながっていくのね…。

2019/02/07

[ひめありす＠灯れ松明の火]

最終巻。ですが、大きな事件が起きる訳ではなく穏やかに物語は進んでいきます。彼方君の進路にはちょっとびっくりしたけれど、そんなに長い期間でもないみたいなので一安心。人生が長そうなので、のんびり自分の進路も選んでいいのだと思います。今の社会は大学を出たらその瞬間に何者にならなくてはいけなくて、それが既定路線みたいなところがあるけれど。社会をちょっと歩いてみたりしてから、のんびり何者かになるべき自分を探してもいいのかなと思いました。新しい場所での物語も始まりそうなので、のんびり楽しくそちらも読んでいきたいです。

2017/06/30

[ううち]

第9弾。さらりと完結。ほのぼのとしていて楽しいシリーズでした。 鷽替え神事の小鳥はすごくかわゆい。来年は行列にチャレンジしてみるか…。 華舞鬼町シリーズも楽しみ。その前に番外編を読まねば。

2017/11/02

[雷華]

憂いを払うあやかし世界の駄菓子屋店主（龍神の一部）と大学生の物語も一応完結。案の定な安心設計と言ってしまってもまぁ、過言ではないですが、彼方君の成長とその行き先を書くには存外このペースが必要だったのかもしれないですよね。最後は仲間の力を借りつつ死にかけるもきちんと解決できたし、自分で道を見つけられたり、水脈さんの出した答えも安定と言われたらそうですが納得できる大団円だと思います。あやかし達の商売っ気の強さもツボです。後書きで、都築の顛末の理由も知り納得…番外編も出るとありますし…新作ともども楽しみです。

2017/06/30