内容説明
直参旗本・日向半兵衛は、出世のことしか考えない同僚に嫌気がさし、「あらゆる欲を捨て去り、何もこだわらぬ無の境地になって死にたい」という願いを込めた「無用庵」で隠居暮らしを始める。のんびりと過ごすはずだったが舞い込んでくる事件の数々。「口は悪いが情けにゃ弱い」日向半兵衛が難事件を解決する痛快時代小説。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
KAZOO
82
つい最近家人が時代劇を見ていたのをちらっと眺めたら水谷豊と岸部一徳が出ているので相棒の時代劇版かとクレジットを観たら原作が懐かしい海老沢さんということでこの本を手に取りました。「監督」「美味礼讃」を読んでいた私はこの方がお亡くなりになっているのを知りませんでした。このような時代劇連作を書かれていたのですね。隠居のじいさんとその家来のような人物が事件を解決していきます。この作品で「キリシタン類族」という概念を掘り起こしたのに残念です。ほかの作品も読んでみようかと思っています。2022/03/30
goro@一箱古本市5/5
52
隠居修行と称して無用庵なる居を手に入れた元旗本の日向半兵衛であるが、何かと事件に巻き込まれる8編の連絡短編集。周りを固める人物も味があり、親戚となった蝋燭問屋の金右衛門、キリシタン類族をまとめる聖天の藤兵衛に用人の勝谷。殿に頼まれたら一肌脱ぐ面々が頼もしい。悪い奴らは許せねえ!と隠居の日々も騒がしく、お咲、奈津と言い寄られるながらも満更でもない半兵衛さん。これは楽しいシリーズになりそうだったのに遺作となってしまったのはとても残念無念!ノンフィクションだけではない作者の力量を感じた。「青い空」も読まねば。2020/06/09
Mark
24
痛快な時代物で、一気に読了しました。BSでドラマ化されたものを先に見ましたが、まるで刑事ドラマの「相棒」を時代劇化したがごとくのキャスト設定。読み進めながら、水谷豊、岸部一徳などの実像が浮かんできます。江戸時代、寛政の改革期における庶民生活と、いまでは戦災と開発によって破壊しつくされてしまった、江戸の風情も非常に簡潔かつ鮮明に描写されています。著者の海老沢さんがお亡くなりになり、このシリーズも短命に終わったとのことですが、もっとたくさんの話を読ませてほしかったものです。残念です。2022/09/19
onasu
15
江戸も後期、白河公が表舞台に現れる頃、直参旗本の大番役、54歳の日向(ヒナタ)半兵衛は、前々から隠居を企んでいたが、跡継ぎがいないため、同い年の用人から留められていたが…。 初話で養子に格好な者が現れて、隠居宅に掲げた「無用庵」との言葉通り、心を乱すことなく立派な隠居になるはずが…。 まあ、そうなってしまっては作品にはならないので、次々と面倒ごとに関わっていくことに。半兵衛も周りがほおっておかない造けいだが、脇役たちも魅力的で、おもしろい作家さんを掘り当てたかと思ったが、残念ながら、著者は泉下だそう。2022/05/06
たーくん
11
古本屋で偶然見つける。この作家の時代小説は初めてなので、購入。面白くて一気読み。反骨精神が痛快。他の時代作品も読みたいと思って調べる。なんと、亡くなっていた。早い他界にショック。→→→直参旗本・日向半兵衛は、出世のことしか考えない同僚に嫌気がさし「あらゆる欲を捨て去り、何もこだわらぬ無の境地になって死にたい」という願いを込めた「無用庵」で隠居暮らしを始める。のんびりと過ごすはずだったが、舞い込んでくる事件の数々。「口は悪いが情けにゃ弱い」日向半兵衛が難事件を解決する痛快時代小説。 2018/02/15
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