内容説明
時は宝暦四(1754)年、屑鉄買いの鉄鐸(さなき)重兵衛は下野国の小藩の鉄山奉行だった。藩が改易になり、仲間と江戸に出てきたのだ。その日、飴を目当てに古釘を持ってくるなじみの留松という子が、差し出したのは一振りの小柄(こづか)だった。青く銀色に光っている。重兵衛は興奮した。希少な流星鉄(隕鉄)を使った鋼(はがね)で作られている。しかし、その夜、留松の一家は惨殺され、重兵衛たちは事件の渦中へ……。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
海猫
67
設定や背景に謎を残したままな部分はあるにしても、一冊で目まぐるしく展開して読みどころ多し。伝奇ロマンの定番に沿ってお話が進んでいくのが心地よく、終盤ではっきりする大仕掛けにもちょっと興奮。これだけで一応のまとまりはあるにしても、続編があってもおかしくはない。この作品に限らず、大長編伝奇ロマンが書けそうな著者なので、今後そういう作品が生まれることに期待。まずはこの一冊を楽しく読めたのを喜ぼう。2018/09/17
baba
32
江戸中期、改易になった下野の小藩の重兵衛は仲間と江戸に出て町人として暮らしていた。飴と屑鉄を交換する生業で、知り合いの子どもから預かった小柄から大きな陰謀に巻き込まれていく。「でんでら国」で興味を持った平谷さんの作品。鉄に関しての説明とまだまだこれでは終わらず、これから何か起きそうな予感、続編があるのかな?2017/06/13
真理そら
14
流星鉄の小柄にかかわったために得体のしれない一団に襲われた一家。その仇を討つつもりで重兵衛、百三郎、伊織、五郎太は旅に出る。というような一見ありふれた展開なのだが踏鞴衆の登場から製鉄の歴史に伝奇風味を加えたものをじっくり勉強させてもらうことに…。ダイナミックな剣戟?の末一応目的を果たして江戸に戻ったが、けがの回復が早すぎる重兵衛の血筋の謎、踏鞴衆の女・多霧のまだまだ活躍しそうな雰囲気、更に謎の雲水との決着も曖昧なので続編があるのかもしれない。2018/02/15
ダイアナ
6
解説を読んで、出版四社の共同企画として「平谷美樹が来た!」が開催されているとのこと。非常に嬉しい!!そのうちの一作が今作。下野国の元鉄山奉行、鉄鐸(さなき)重兵衛。藩が改易になり、仲間と共に江戸へ出て屑鉄売りをして生計を立てている。ある日別の長屋の留松が持ち込んだ小柄を買い取った矢先留松一家が惨殺され、仇討ちすべく重兵衛達は事件の渦中に巻き込まれていく…ラストはけっこうパワープレイで押し込んだ感もあったけどまだまだ続きそうな気もする。とりあえず平谷美樹が来た!もっと楽しみたい!!2018/02/02
イシカミハサミ
5
表紙よりタイトルが物語の本質に近い。 舞台が江戸時代の日本になっているとは思えないほどの 冒険活劇。 神話の時代から脈々と続く、 鉄を巡る覇権の物語。 まだ続編も刊行されるようなので、楽しみ。2018/10/01
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